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『食の宝庫キルギス』

中央アジアの料理を作りたいと思ってもなかなか材料が揃わなかったり、どう作れば分からなかったりする。ましてや現地に行って、地元の味を堪能するということは簡単にはいかない。

ユーラシア文庫の『食の宝庫キルギス』はまさにそんな夢を大きく促してくれる良い本だと思います。

そして良い本であると言い切る理由は、単にキルギス民族の料理に焦点を当てるだけでなく、ロシア人や朝鮮人など非キルギス人以外の民族の食文化を紹介しているところにあります。さらにドンガン人の食文化などキルギスの少数民族にも注意を払っています。そういった意味で、キルギスが「食の宝庫」であるということを読み手によく伝わる本だと思います。

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あとは料理をする人間として、もう少し写真が欲しかったなぁというのがあります。白黒で写真が所々に載っていますがカラーではないので、料理を作る人としてはもう少し鮮明に見たかったのが正直なところ。例えば上記のハルヴァは「見た目は大きな灰色の塊」と書かれていましたが、文化の違いがあるのでイメージは難しかったです。

個人的にはドンガン語に興味があるので、もう少し民族文化に足を踏み入れて欲しかったとは思いますが、食にまつわる本なのでしょうがないところでしょう。ドンガン語は中国語の官話方言の変種とされていますが、漢字を使用せずキリル文字で書くことが特徴です。

言語はともかく、歴史や食文化にまつわるルポルタージュや紀行が好きな人は読んで損はない本です。


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Photo:ID 33619147 © Radiokafka | Dreamstime.com
halva:ID 157991023 © Oksana Chaun | Dreamstime.com

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