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初めて会う女性との3時間だけど一生の思い出

このnoteは2021年11月20日土曜日に行われた、乃木坂46東京ドーム公演にまつわる女性との思い出備忘録です。

乃木坂の東京ドーム公演といえば、4、5年前に初めて行われたのがとても昔の様に感じる。今回のドーム公演もありがたいことに参戦することができてとても嬉しかったのだが、一つ問題が生じた。いつも一緒にライブに行っている友人が来れなくなってしまったのだ。

ライブといえばライブ自体が目的だけれども、ライブに向かうまでのセトリを妄想して話したり、ライブ会場の雰囲気に一緒に酔ったり、物販の長い列に文句を言いながら並んだり、座席に一喜一憂したり、こういう一つ一つの出来事を共有して楽しむのが醍醐味だと思っている。にも関わらず、今回は僕1人の参戦だ。幸いにも地元での開催だったので遠征は不要だったがそれでも少しテンションが下がってしまった。どこに行くかではなく、誰と行くかが大切とはよく言ったものだ。

だからと言って、大好きな乃木坂のライブを無駄にしたくはない。そこで、1人が嫌なら誰かを見つければ良いのではと思い、文明の利器「Twitter」を利用した。生まれて26年近く経つが、SNS経由で人にアポイントを取るのは初めてだし、ましてや他人と話すと壊れたロボットみたいになる程緊張する達だし、本当に緊張した。勇気を出してみると現実は良いもので、1人の乃木坂ファンの女性と連絡が取れた。

女性は僕と同い年で、彼女も連れが来れなくなって1人参戦している方だった。シンプルな感じというか、落ち着いていて一見内気なのかなと思いきや、所作だったり細部まで品があり素直に一緒にいて居心地の良い方だった。しかも仙台から夜行バスで来て、その日のウチに夜行バスで帰るらしい。僕はいつも遠征する時ホテルで一泊はするので結構驚いたが、それよりももっと気掛かりなことがあった。

彼女は夜行バスで東京に来てるので、僕と会うまでの11時間ほど1人だった。1人が好きな人はもちろんいるし、これは僕の完全なるエゴであり自己中な行動でもあるが、何か今日来てよかったなと思える出来事を増やして欲しかった。東京にもあまり来たことがなく、電車もよく分からず人の流れに身を任せここまで来たと言っていた。ライブを見れれば満足だとは思うが、誰ともライブの良かった場面やセトリについて話したりもできずこのまま帰るのは、いち古参ヲタとしても地元民としてもやるせない。もはや彼女のためと言いつつ、自分のためにも何か彼女をもてなしてあげたいと思っていた。

ライブが始まるまでの1時間、推しについて話したり、いつからファンだったのか話したり、ライブには行ったことあるかなど、当たり障りのない話題だけれども、聞いてみたいことをお互いに交わした。それぞれのファンとしての熱量がわかった良い感じのタイミングでライブが始まり、このまま終わりまでライブは走り切った。今回のツアーで仙台、大阪と既に参戦済みの身としては、セトリが被らなかったのはホッとしたし、『きっかけ』の演出も震えたし満足がいく内容だった。ライブの内容については後日語ろう笑。

ライブが終わった。さてどうするか。1人ならこのまま直で家に帰るが彼女のことが頭の片隅に残っている。ライブが目的なのだから、ライブが終わったら別に気にしなくても良いがそれでも気になる。人見知りの僕としては結構大胆な行動だが、夜行バスが出る東京駅まで一緒に行く事にした。地理がわからないから案内して少しでも心細さを取り除いてあげたい気持ちがある一方、純粋に僕が話したかった。東京ドームを出る瞬間の気圧の変化を共に笑ったり、水道橋駅までの人がごった返してる状態に笑ったり、セトリの〇〇が良かったねと話したりしていたら、いつのまにか東京駅に着いていた。楽しい時間というのはいつだってあっという間だ。

東京駅には22時頃着き、夜行バスが出るまで1時間30分ほどある。僕は迷った。冬のこの寒い中、1人で待つには長い時間だし、カフェに入ったとしてもせっかくの東京なのに退屈だ。過去の僕が見ても、未来の僕が見ても、驚くであろう行動をとった。食事に誘ったのだ。普通の社会人なら当たり前の行動かもしれないが、僕にはこれが今まで出来なかった。断られた時のことを考えて傷つくのが怖かったんだと思う。ましてやLINEとかじゃなく、直接言うなんてもってのほかだ。外は寒いのに、耳から首元がとても熱い。返事を待つ時間が永遠に感じる。こんな事なら誘わなければよかったと思っていた時、ぜひ行きたいですと言ってくれたのだ。まるで告白が成功した時みたいに嬉しかった。たかが食事に誘っただけなのに。

コインロッカーからリュックを取ると、八重洲方面に歩いた。地元だから案内してあげようと思っていたが、東京駅でディナーなんてしたことない。僕はいつも秋葉原でココスだ。僕が不安がっていたら、彼女が1番不安がると思い、背中に汗をかきながら自信ありげに歩いた。2店舗ほどLOの関係で入れなかったが、3店舗目で席を確保できた。店の知識ぐらいストックがあるのができる男だとまじまじ思ったのはここだけの秘密だ。

個室の海鮮系の居酒屋で雰囲気が良く、男としての自尊心が保たれた。席に着く時コートをかけてくれたり、メニューを広げてくれたり、僕がもてなしてあげようと思ってたのに気を遣ってくれて心が揺らいだ。料理を注文した後、再度ライブの感想だったり、仕事の話、趣味・休日の話や家族の話をした。1時間ちょっとの食事は刹那のように終わった。楽しい時間というのはあっという間だ。世界の仕組みは意地悪だ。

店を出ると冷えていた。深呼吸すると気管がキュッと閉まる寒さだ。ここまで来たらバス乗り場まで案内しようと思い、一緒にターミナルまで向かった。刻々と終わりは近づく。東京と仙台は遠いけど近く、遠い距離だ。別に僕は恋人でもないし、ただ今日初めて会って3時間だけ一緒にいた関係だ。でもそんな彼女と今日別れたら、もう一生会うことはないだろうということも感じた。「また機会があったら会いましょう」なんて言葉は、さよならの枕詞だ。明日からはまた、お互いの人生があり、お互いの日常がある。そうやって物事は進み、記憶は薄れ、時間が無かったことにしてくれる。だけれども僕はこの出会いをただの思い出で終わらせたくなかった。最後の勇気を振り絞りLINEを交換した。夜行バスの入り口に入る所で言うことができた。この一言がもしかしたら、彼女とまた会うための分岐点になったかもしれない。これは未来になってみないと分からない。交換したけどすぐブロックされることもあるだろう。でも構わない。この一言がなければ本当に会う可能性は0%だったのだから。



#感想
なんだかんだ、東京ドーム公演について備忘録がてら残そうと思ったのですが、ライブと同じくらい、仙台から1人で遠征してきた彼女との思い出が大きくなってしまいました笑。最初は何か思い出を作ってもらいたいと思い、行動しましたが結局のところ僕の方が思い出をいっぱいもらっていました笑。エゴだけれども少しでも彼女の思い出を作れたら嬉しいなと思います。人と人との出会いは一期一会。一つの勇気で変わる結果。好きなもので新たな人と出会い、そこから思い出ができるこの感じこそ忘れてはいけない感情だなと思いました。
いつだって現実は想像を超えるからこそ人生は面白いですね。

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