呑気な日本人男性・その後🇰🇭【スーパースターを目指すカンボジアの若者たち】第48話
🇰🇭ケンのその後
「そこはどうにか、俺の技術で他には負けない作品を作るから」
プノンペンへみんなで上京し、大手携帯キャリア会社・テレビ局と契約後に、ヘアン、コン、キンが次々と離脱。
その謝罪行脚の度に、このセリフで何とか契約解除や減俸を免れてきた、ケン。
ケンは本当に、ポラリックスと一緒にいる間に様々な技術を身につけてきました。
例えば、AR(Augmented Reality : 拡張現実) 。
いまだに、私もレナも、あんまりよく分かっていないのだけど、ケンは今“ARアーティスト”とかいう肩書きで、仕事をしています。
ポラリックスをローラの事務所に移籍させた時、ケンは一銭もお金をもらわなかった。
カンボジアでビジネスをしている日本人には
「さんざん金を叩いただけになっちゃったねぇ。まあ、良い思い出にはなったろうけど。」
なんて言われることもあったけど、そんなことは無いんですよ。
いつか、サソリ姉さんも言ってたと思うけど、ケンは善人ではないんです。
もう一回言いますね、ケンは善人ではないんです(笑)
ケンは、芸能事務所でポラリックスたちと会話しながら英語力もアップ
(勉強嫌いのため学生時代に英語を勉強したことないのに、けっこう話せるのよ)
映像制作技術もアップ
そして、そのARという技術を身につけてから日本に帰って来た後も、コロナ&円安禍だろうが海外から仕事をもらい、
何故かドバイまで招かれ表彰されたりもしました。
今、日本では「自己肯定力」なんて言葉が流行ったりしてるけれど、ケンはその天才。
「オレって天才」
と、自分で自分を褒めながら、毎日を謳歌しています。
呑気な男です。
ケンは、ポラリックスに全部を渡して、ポラリックスから全部をもらったんですね。
そして、もうポラリックスに渡すものは何もありません。
ポラリックスには、もうケンは必要ないのです。
2023年4月
カンボジア旅行の終わりに
ケンは小さなメモリーカードをティーに渡しました。
「これ、今までのビデオとか写真とか、全部入れといたから。もし“ポラリックス”の誰かが、道に迷ったら、見てみて。」
“ポラリックス”は、みんなで頑張って創った動かぬ星・北極星。
一緒に夢を追ったみんなが、ケンにとってのポラリックス。
ティーは、ハイ!と笑って、メモリーカードを受け取りました。
これが、私の飼い主
ケンのその後の物語です。
ケンの芸能事務所から、ローラさん率いるバラメイ・プロダクションへ
ポラリックスを譲渡した時に作られた、ケンとポラリックスの最後の作品です↑
この作品を観るたび、ケンとレナには
あの頃の思い出がツンとワサビのように
思い出されます。
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