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結びからはじまる一日もある

〜しましたとさ。(まる) 
この「まる」から始まるような一日が偶にある。いや、ごめん嘘だ。結構ある。

朝起きた時点で、もう終わってる日だ。具体的に何が終わってるかとかは分からない。あえていうなら気持ちが、頭が、なのかもしれない。そしてそれは至って普通に寝不足が招いた結果なのかもしれない。とにかくもう終わっているのだから、ここから始めろと言われても「なにを?」状態なのである。

今日がそんな日だった。

しかも今日のパターンは珍しい。朝から頭が回ってない自覚があればいいのだが、自覚がなかった。よってそれは夕方頃訪れた。

イレギュラーな仕事の講習会のようなものがあった。(ちなみに仕事のとかちょっと格好つけて書いたが、僕はバイトです)
専門性を高めるための知識を学ぶ講習会。

新人の人も歴が長い人も社員含め一緒に受ける。
自分はこの仕事に就いて一年ぐらいだから、まぁ一応その中だと歴が長い人となる。

講習会が始まり、みんなメモをとりながら集中している。講師の人も元々はうちの職場でバイトから始めている方だったので、堅苦しい雰囲気は一切なく僕らの為に面白おかしく講義をしてくれていた。

15分ぐらいして突然やってきた、基礎的な知識の確認タイム。クイズみたいな感じで当てはまる数字を答える場面だった。

新人研修で自分も教えているし、なんとなく大丈夫な気がしていた。が、しかし一問目で突然指名された時、「あれなんだっけ…?」と答えが一瞬にしてボヤけた。

だからといって意外とまだ焦っているわけでも無い。いや、どうだ。焦りが少し遅れてやってきている!
困ったことに3つ、いや2つほど答えが浮かんでいる!もうすでに2秒くらい黙ってるから変な空気漂い始めてる!いいから答えよう!

そして俺はまるでインタビューで温室効果ガスの削減目標数値をだいぶ引き上げたことを尋ねられ

「おぼろげながら浮かんできたんです。46(パーセント)という数字が」と答えインタビュアーをドン引きさせた小泉進次郎よろしく、

おぼろげながら浮かんだ数字を答え、周りをドン引きさせたのだった。

もちろん不正解。苦し紛れにもう一個浮かんでいた方も言っておく。はい、不正解。ばか丸出しじゃん。

恥の上塗りそのもの。

また少し沈黙が流れ、俺が教えた新人が迷いのない声で答えた。正解。
上司が気を遣って「おいおい〜w大丈夫か〜w」と俺に言う。

ワイ、「ハハッ(絶望)」と渇いた笑いを無事提供。

これ、こういう風に書くとめちゃくちゃ変な感じにしちゃったように思えるかもしれないが、一応すぐにまた全体として和やかな空気感が戻っていた。というか、初めから別にさほど変な空気にはしてないのだけど俺だけが恥ずかしすぎてそんな風に感じてしまうのだった。

頭の中でいろんな言葉が一気に行き交いはじめる。講習はこんなにも和やかで、ほどよく静かに進んでいくのに俺の頭の中は渋谷のスクランブル交差点ぐらい煩い。

何も入ってこないよ。もう。

これ、ほんとによくないんだが、切り替えがこういう日はより一層遅くいつまでも自分に意識が向いていってしまう。

自分にぶつかって来る自分自身の言葉の波に押し流されないように踠きながらどうにかスクランブル交差点を渡り切る。

気づけば講習会は終わっていた。


ひと息、というかため息を吐いて「お疲れ様でした〜」と言うと、みんなのんびりとそれぞれに散っていく。

自分も、もう帰ろうーーー。


が、その帰り道。

まさか、もう一度、頭のスクランブル交差点を渡ることになるとはこの時はまだ思いもしていなかった。


つづく。

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