マインドフルネスと深呼吸⑤ 「今、入っている」その瞬間

 瞑想中の10分間、ずっと意識に集中することは非常に難しく、あれやこれやと考えてしまいます。仕事がある平日は業務のこと、それ以外にも朝食は何を食べようか、何という鳥の鳴き声だろうか、向かいのビルでおじさんが体操しているな、など、浮かんでは消える思考と向き合いながら、今に集中することの大切さを瞑想では重視しています。

 この「今に集中する」ことですが、瞑想していると、瞑想集中モード突入とでも言えばよいのでしょうか「あっ、今入っている」とまさにその瞬間に気がつくことがあります。例えば仕事や勉強していていてやる気がないまま進めていると、ふと集中しているときありますよね。その瞬間をわざわざ意識することはほとんどありませんが、こと瞑想中においては切り替わる瞬間を捉えることができます。瞑想の達人に「それこそが真の瞑想の入口じゃよ」と太鼓判を押されたわけではありませんが、私はそう思っています。まさに今に集中して意識することができている実感が湧くことで、一つの達成感を得ることができます。

 その瞬間とは、頭の先から背中にかけてグッグッっと後ろに引っ張られるような感覚が始まることでわかります。ちょうど、釣り糸に魚が食いつくあの瞬間のように細かいリズムで、しかも小さく、けれどもハッキリとそれとわかる感触が伝わるのに似ています。そうすると、頭から背中にかけてスッと一本の線が入るように重心が整い、座っているときの体のバランスが均等になるような感覚になります。石を積み重ねたとき、なんども置きなおしてピタリと乗った瞬間をイメージしていただくといいかもしれません。この瞬間はいつも瞑想の後半にやってくるので、集中モードは長く続かずに数分で終了してしまいますが、それを感じることができるか否かがその日の瞑想の達成感を左右する判断軸となっています。

 難しいもので、この感覚に入ることを追ってしまうと、これまた意識しすぎてしまい、集中モードに入れないんです。瞑想の成果に良しあしもないので、結局それを追い求めることそれ自体が邪念になるという。そして、難しく考えるとリラックスできないので、、、と思考の連鎖ができてきます。

 そんな時は、基本に立ち返り、まずは深呼吸。この意識を戻してくるということが瞑想においてはとても重要な要素になるんです。



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