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繊細さんな長女に、カナダの学校はちょうどいいのかも

木曜日のテーマは「カナダで子育て」です。


家族でバンクーバーに引っ越してもうすぐ2ヶ月。


6歳の長女のキンダー(学校)もはじまっていて、だんだん生活リズムがついてきました。

今日は、極度な繊細さんである長女にとって、カナダの学校はなんだかんだ合ってるのかもしれないな、来てよかったな、と思ったことを書きます。

※長女は日本で軽度の自閉症スペクトラムと診断されています。繊細以外にもいろいろありますが、今回は彼女の繊細な面だけに着目しています。


<バンクーバーの学校は食事の回数が多いのが良い>


長女の通っている学校には、9~15時の間に3回の食事時間があります。

・午前のスナック
・ランチ
・午後のスナック

スナック(お菓子)と言ってもチョコや飴ではなくクラッカーやチーズ、野菜スティックや果物が中心です。おやつというより、ちょっとした腹ごしらえ用というイメージ。

なぜこれが繊細な長女に良いか?

それは長女は繊細すぎて、お腹が空いてもそう伝えられないタイプだから。

さらに、これまで日本の幼稚園で育った長女にとって、「給食の時間までは食べられない」のはまるでこの世の常識。

言われた通りのことをこなすのが得意な(言い換えれば融通が利きにくい)長女。この常識は完全に頭にインプットされています。

つまり

「給食の前に食べたいという=わがまま」
「給食前に食べたくなる=ダメなこと」

こう思っているので、もし授業中にお腹が空いたら脳内で勝手に「まだ食べる時間じゃないのに…」「お腹空いたなんて先生には言えない…」と罪悪感を溜めていきます。


『はあ~~おなかすいたー!せんせー、はやくたべたーーい!』と気持ちを発散できるタイプの子ならばいいんですけどね。

なので、バンクーバーの学校のようにちょくちょく食べる時間があるのはありがたい。授業中に「あ、ちょっとお腹が空いたな…」と思うぐらいのタイミングでちょうどスナックが始まるので、長女にとっては罪悪感につながらないんです。

もちろん完食する必要もないので、多すぎれば残せばいいです(長女はまだ完食しなければならない…と思い込んでいる気がしますが)。

繊細な子って、本当にこんなことでも悩んだりするんですよ。


<みんな好きなもの着ていいのが良い


バンクーバーの学校は服装のルールが緩いです。

というか、ルールはありません(強いて言うなら、動きやすい格好であることと、雨の日でも外遊びするから雨具を持っていくぐらい)。

これも、繊細の長女にはよかったのかもしれません。

長女は人と違うことをするのを極端に嫌います。

恐らく、「まわりと一緒=間違っていない=怒られない=安心」という思考なのかなと思います。


日本にいた頃、うちの幼稚園には「通年ジャケット禁止」ルールがありました。よく分からないですが、冬でも遊べば温まること、寒さに強い体を作ることとかそんな理由で幼稚園にジャケットは着用禁止でした。(もちろん帽子や手袋も✕。フリースはOK)

もしかすると安全面などの理由もあるのかもしれません。

が、長女は生まれながらに身体能力があまり高くなく、冬は寒いままでいくら遊んでも温まりません。温まるほど動き回らないタイプなんですね。

走れば温まる!と言っても、他の子の1/10のペースでしか走らないのでいつまで経っても温まりません。


これまた『せんせーーさっむーーーい!めちゃさむい~~』なんて言いながら友だちや先生とおしくらまんじゅうするような活発な子は、大丈夫なんだと思います。自ら温まる手段を見つけられる子は。

しかし長女は繊細でさらに発達障害ということで、こんなハッピーに先生に話しかけませんし、自ら他の子に身体接触していくことはありえません。

せいぜい、風の当たらないところを見つけて一人で静かに避難するか、凍えながらも先生の言う通りに外で遊び続けるか…

さすがにこれは可哀想すぎるし、特に従わなければならないようなルールではないと判断したわたしは、冬に先生と相談して、特別にジャケットを着てもいい許可をもらいました(そもそも許可ってなんだ)。

しかしこれはこれで長女にとってはストレスでした。

寒い、ジャケット着たい、だけど誰も着てない、本当はジャケットは着ちゃだめ、わがまま言いたくない、だけど寒い…

こんなどうでもいいルール(おっと失礼)のせいで一人の子どもがストレスを抱えているなんて、親としては考えただけで涙が出てくるわけです。


わたしは娘に「寒いならジャケットを着ていいに決まってるじゃない?寒いんだから。そのためのジャケットなんだから。ダメな理由なんてある?もしかしてみんなは寒くないのかもしれないけど、娘ちゃんは寒いんだから。寒がりな人は着る、暑がりな人は脱ぐ」とぴしゃりと伝えましたが、本人が内心どう感じていたかは分かりません。

何が正しいのかは分かりませんが、少なくてもわたし(母親)が「本当はダメなんだけど…」とか「先生に特別に許してもらったから…」なんて言った日には長女の罪悪感に拍車がかかるのだけは確か。

なので、せめて娘の前では「まったく何も悪いことじゃないけど何か?」みたいな態度を貫きました。


話は逸れましたが、このように繊細な長女にとって「特例」「特別扱い」はストレスです。

今バンクーバーの学校に通っていますが、みんな服装が違います。

ちょうど今週から長い冬が終わり春に切り替わった空気で、みんな好きなものを着ています。

今日だって、クラスメイトのある男の子は半袖短パン。

うちの娘は、真冬仕様のもこもこジャケット。

担任の先生は、ノースリーブの花柄ワンピース!

誰も、他人が着ているものに対して興味がありません。

ルールもなくみんな違いすぎるので、比べられません。

寒がりで繊細な娘は、安心感のあるジャケットが好きです。今日外の気温は15℃でした。ちょっと動いたら汗ばみます。それでももこもこの真冬ジャケットを着て行きました。

寒い人は着る、暑い人は脱ぐ。

こういう小さな「自分で決めていいんだ」という経験ができる今のバンクーバーの学校は、きっと繊細な娘にとってプラスになると思います。


【余談】渡航前は、日本の仕組みの方が合っているかも…とも考えていた


このように、娘は人と違うことをするのが苦手でストレスを溜めやすい性格です。

なので、移住前は「ひょっとして日本の教育システムの方が合っているかも」とも考えていました。

日本ならば、何をすればいいか、何をしてはダメか明確なので、「あいまい」を感じ取りにくい娘にとっても分かりやすいというメリットがあります。

もしかすると、「好きなようにやっていいよ!」というカナダの方針の方が娘には難しいのかも…とも思いました。(自由遊びより、決められた遊びの方が得意なタイプです)。


しかし、いざ来てみると、バンクーバーでは「好きなようにやっていいよ!」だけではなく、「好きなようにやっていいよ!(そして誰も何も言わないよ!」がセットだと気づきました。

誰も見ていない、誰からも監視されないのでビクビクしなくてもいい。極端なこと(暴力とかいじわるとか故意の破損とか)しない限り、なんでもしていい。

(日本の場合、意外なところにルールが落ちていることもあるので…)

この、ほど良い放っておかれ感が娘にとっては息が詰まらない環境になるのでは、長期的に見たら良い環境なのではないかと思い始めてきました。


もちろん、まだバンクーバーに来て2ヶ月です。学校に通い始めて数週間。今後どうなるかはまだまだ分かりません(実際、長女はすでに行き渋る日がありました)。

それでも、緊張こそすれどビクビクはしていない娘を見ていると、むしろわたしのほうが緊張感がほぐれているような気もします。

とりあえず、今はこの道を選んでよかったな、と一安心しているところです。



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