#日米地位協定について

 日米地位協定を見直すべきである。

 日米安保体制下において、アメリカは日本を防衛する義務を負う。代わりに日本は米軍に基地などの施設や区域を提供する。アメリカは、インド太平洋地域を牽制するための戦略拠点にしてきた。一方で、日本も基地の存在を抑止力にしてきた。

 沖縄県の米軍基地内で、新型コロナウイルスの集団感染が発生した。普天間飛行場とキャンプ・ハンセンが封鎖された。

 アメリカは感染者数、死者数ともに世界最多で、日本政府による入国拒否の対象国であるが、日米地位協定によって国内法が適用されない米軍関係者は、日本側の検疫をせずに基地経由で直接入国できる。
 
 2004年、沖縄国際大に米軍ヘリが墜落した。米軍は現場を封鎖し、捜査当局を排除した。国内の民有地であるにも関わらず捜査権が及ばなかった。

 4月10日、普天間飛行場の消火システムが誤作動し、発がん性が指摘される有機フッ素化合物を含む泡消火剤が大量に敷地外に流出した。

 日米地位協定に環境調査に関する規定はなく、「環境補足協定」に基づく調査を要請した。この調査は「米軍から事故の通報があった場合」と「基地の返還前」に限られている。

 環境に影響を及ぼす事故が起きた時の立ち入り調査やサンプル採取の手続きは、補足協定に基づく日米合意で定められている。しかし日本側が申請し、それを米側が認めて初めて実施できる。さらに、「米軍の運用を妨げない方法によってのみ行うことができる」と定められており、米側に認められる裁量が極めて大きい。

 今回、米側は地元自治体の求めに応じて水や土壌のサンプルを採取し、一部を日本側に提供したが、米側の対応は遅く、沖縄県が求めたすべての地点での採取を行わなかった。これでは調査の透明性を十分保つことはできない。

 日米地位協定は在日米軍に多くの特権を認めている。日本の国内法は事実上適用されず、日本側に立ち入り調査権はない。事件・事故の際は、日本側の調査や司法手続きなどが制限される。

 ドイツでは米軍に国内法が適用され、イタリアでは駐留米軍の施設や区域の管理権が認められている。汚染事故があれば、事前通告なく立ち入り調査できるのだ。

 フェンスの向こう側の実態を詳しく知り得ない現在の日米地位協定の見直しをアメリカに求めるべきである。

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