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#10 歌舞伎町 前期の終わり

ポイです
↑の画像はLyonのとある路面電車駅
日曜日と路面改修工事のため
路面電車は走っておらず
人もいません 
チケットを買わずに簡単に乗れますが
ペナルティは50€ほど
黙って2€払ってチケット買えばいいんですけど、タダ乗りして捕まる人はわんさかおります
犯罪ですからね、良くないことにはリスクが必ずあります

見切り

時間が経てば経験は蓄積されます
続けていれば何も変わらないことはありません
仕事はそれを実感できる身近なものではないでしょうか?
仕事以外にもたくさんあると思います
変化は必ずあります何事も

RくんPさんがいなくなり
恩師Oさんも移動となり
新しいアルバイトも入ってきたりしましたが誰もが長続きしませんでしたね

Oさんとの問題の後
Eは流石に会社からも色々と言われたのか、以前よりは理不尽なことをすることは少なくなり、多少静かになりました

ポイとしてはOさんに言われた言葉を思い出しながら、「できるだけ努力する」
を心に留めて日々を過ごしましたが
どうしても、以前の様な
「充実感」「努力する姿勢」
「目標とする、手本となる人物」
がポイの中から欠けてるような感じがしてたまらなかったんです

悩むというよりも
どうやっても満たされない気持ち
つまらなくなった職場
今までされた理不尽と暴力
喪失感と不満が自分の中で徐々にだけど
確かに大きくなっていくを感じ
自信は少しずつついていくものの
やはりEに対するネガティブな感情が大きくなっていくことは止められません

コップの中に溜まった水が
表面張力であふれるギリギリの状態を
何ヶ月も耐えていたように思える
その最後の1滴で溢れたらだめなことは
今でこそ理解できるけれど
当時のポイにはそんなことも
なにかに例えて考えることもできず
周りから見ればいつも通りの仕事
いつも通りの理不尽を受け
何気ない会話しかしない中でそんな状態なんて誰もわからなかったはずです

「もういい加減いいんじゃないのか?」

一人になるとそう思うことが多くなり
それはもう見切りをつけ始めていたんだろうと

何故にそこまで我慢するのか?
何故それを受け入れる必要があるのか?


些細なこと


その頃にはもう大体の事は出来るようになり、仕込みに関しても問題はなく
発注、在庫管理、ランチのメニュー考案
などと新しいステップを踏んでいました

Eは相変わらず特になんかするわけでもなく、ほぼ携帯でポチポチしてるような毎日

何か癪に触れば理不尽は通常営業
その頃にはポイの精神は限界でした

ポイが仕込んだもの
(たぶん、ドレッシングやらなにかに使うソースやら、液体)
を作業中にポイがこぼしたんですね
それを見てたEが

E「てめぇなーにやってんだよバカ!
 誰が仕込んでると思ってんだ、もっと
 考えて仕事しろてめぇよぉ!」

ここは今でもはっきり覚えています
限界でした
我慢はすれど態度に出まくりで
その場にいた全員がドン引きして
Eは更に怒りだしてポイを呼び出しました、使っていない客席へ

E「お前ちょっとこい、何だその態度」

ポ「えぇ、行きますよ」

E「てめぇなんだそれ、何が気に入らねぇんだはっきり言ってみろオイ」

ポ「全部です、あんたの全部が気に入らないです、だいたいなんですか?
暴力に始まって、タイムカードは勝手に切って働かせてイカれてるんすか?」

E「あ?てめぇやんのか?気に入らねぇんだろ?ほらこいよ、殴れよ」

ポ「やりませんよ、バカじゃねーの、つーか今まで勝手に消した自分の給料払ってくださいよ、できねぇんすか?
違法ですけど?なんで我慢してきたかもわからないんですか?」

E「…….それは払えない」

ポ「え?なんでですか?じゃあなんでそんなことしてきたんですか?
てかあんた謝ることもできないんですか?立場ある人間なのに」
 
E「….すいませんでした(超小声)」

ポ「はい?何言ってるか全然わかんないです、謝ってくださいよ」

E「すいませんでした!」

ポ「まぁいいや、もう辞めて帰りますね、本社の部長には話しておきますから全部」

自分から手を出すこともなく
こんなくだらない人間に我慢していた自分にもイライラしつつ
荷物まとめて帰ろうとした時

S「ポイ、ポイはもういいよ、辞めたほうがいい」

ポ「そうですね、もう我慢も必要ないですし、あんな人頭おかしいですから」

S「うん、よくわかってるよ、あたしはそこまでそんなイカれたことされてないけどさ、ポイは辞めるのがいい選択だよ」

ポ「Sさん、ありがとうございます」

S「頑張ったしね、もういいよほんと」

これが職場での最後の会話

接客組には誰も声はかけてもらえず
(そりゃそうですよね、散々あんなやりとりをEとしてまるっと聞こえてますからみんなに)歌舞伎町を出ました

歌舞伎町一番街ゲートをくぐりながら
Oさんに報告だけの連絡を入れ
会社側にも事の顛末を述べ
結局会社自体もブラックなので
暴力に関すること、働いてたのに消された分の給料は曖昧にされ何もありませんでした

後悔するだとか
どうすれば良かったのかという疑問とか
そんな類のものは一切なく
なるべくしてなったとしか思えず
次の仕事どうしようかなぁと考えながら
立ち寄ったコンビニでビールとカップ麺と「fromA」を買って帰路に


この時点では本当にもう1度同じ場所で働くなんて思ってもなく
友達の働くパチンコ屋でバイトしたり
違う飲食店で繫ぎながら
ある時に恩師から連絡が入るのでした


O「Oです!ポイくん何してんのひま?!あのさ、働かない?」


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