001「清華大生が見た最先端社会、中国のリアル」 著者:夏目英男

読もうと思ったきっかけ

 私の受験戦争ー予備校ブームの頃とは違った意味で今年度は戦いであったし、毎回受験は本人にとっては戦争そのものであるーも終盤に差し掛かったころ、自宅にたまたまあったので読んでみようと思った。加えて、大学での第二外国語選択を中国語にしていたのもあって、現状どんな国なのか気になったのもある。私たちは普段手にする情報は誰かのレンズを通したものであり、必ずしも真実とは限らない。その情報発信者の主義主張、信条を通して届けられるものに対して最近不安や疑問を募らせつつあったが、実際に生活していた著者のレンズなら信頼できる(本は作者として名前を出さなければならず、書いた者の責任はインターネットもそれよりはるかに重い、的なことを過去問でやった気がするし講師から聞いた気もする。)気がした。本当に軽い気持ちだった。

印象的だった言葉

▶「少年智則国智、少年富則国富、少年強則国強、少年独立則国独立、少年自由則国自由、少年進歩則国進歩」

 確かにこう掲げてもらえるのなら、愛国心も強いなぁそりゃ…とはじめからこのスローガンに対して羨望、いや、嫉妬した。日本文学を研究すると決めているので自分にもある程度の愛国心はあると信じているが、やはり彼らの愛国心、もとい国の為に頑張ろうとする姿勢を見てしまうと私の愛国心なんて、彼らがどんぶりいっぱいのご飯だとしたら私のは米一粒にも満たないだろう。文化の好みと愛国心は必ずしも等号で結ばれてはいないと実感した。

▶「自強不息、厚德戴物(自らを向上させることを怠らず、仁徳を高く保ち物事を成し遂げる)」(清華大学校訓)

 初めて私が論語に触れた時と同じような気持になった。中国の青年は本当に志が高い。本当に憧れる。ずっと学び続ける姿勢に感化された。ただ、こうずっと勉強している人というか、忙しい人ほど幅広い分野においても詳しく、時間を大切にしているな、と自堕落さを反省した。自堕落であっても、自分さえ良ければいいのだけれど、。結局は私の人生なんで。それを言ったら終わりでもある。ただ、後悔しない人生を送りたい。それだけ。

感想

 私は春から大学生になる。隣の国の同じ年くらいの子は、あんなにも努力して大学に進学している。人生のすべてを捧げていると思った。比べてしまえばそれまでだが、覚悟が足りなかったのだ。今後悔してももう遅いが、次は後悔しないように、希望の職につけるように今からでも努力しなければならない。

また、ぜひとも中国語と今以上に英語を勉強して、できれば留学して中国の大学生とかかわりを持ちたい。そして沢山話をしたい。国籍に関係なく沢山の人と話をして、視野を広げ、新たな考え方を知りたい。そのためにもまずは勉強。友達は裏切るが、勉強が裏切ることはない。努力は報われないことはあるが、裏切ることはない。チャンスをつかむためにも勉強するのだ。スタート地点はみんな平等だ。ただ、チャンスだけは平等じゃない。それは私自身が一番よくわかっていることだ。私はこれからも人生に於いてのチャンスの不平等に泣くだろう。泣かないことはできずとも、その回数を減らすのはやはり勉強しかない。

 そして、自分の目で見て、感じて、確かめたい。誰のレンズも通さずに見たい。そこから考えるのだ。流布している偏見に惑わされずに。

最後に

 大学進学は就職のための「ジャンプ台」じゃない。私はもともと国文学がやりたいから大学進学を決めた。勉強するために大学に行くのだ。これを一年後、二年後、読み返して恥ずかしくない大学生活を送っていることを祈る。人生は終わりなき戦いの連続だ。バビロンで舞うために、荒波にも負けずにもがいて、死ぬ間際「ああ、いい人生だったな」と思えるように。

 私は学生に焦点を当てて書いたが、テクノロジーの発展は想像以上だった。これも誰かのレンズのせいだなと思いつつもやはり、実際に行ってみないとわからないものなのだろうなと思った。


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