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”女の園”から覗いたパリ体験記②~Palais de la Femme~

憧れのパリライフは、「落胆」いや、もう「絶望感」に包まれて幕をあけました。
舞台は、Palais de la Femme(女の園)。築100年の女子寮です。
ドアを開けて目の前に広がった世界は2m×4.5m。
部屋の真ん中に立って、両手を左右に広げると、両の指先がギリギリ壁につかないぐらいの幅の部屋には、担架ぐらいの幅の寝返りの打てなさそうなベッド、洗面台の上にはヴィンテージ感のある鏡、奥行きのあるタンス、鏡台になる机とガタついた椅子が一脚。
部屋の中にトイレがなくてよかった、、、

力なくベッドに座って、異常に高い天井を眺めながら明日からのパリライフを想像するだけで泣きそうになりました。
何も考えたくないほどの落胆の中でも、お腹はすくものです。それでも外に買い物に行く気力は一切なく、日本から持参したカロリーメイトがパリの最初の晩餐となりました。

Palais de la Femme の驚きは、狭い部屋だけはありません。
共有のトイレは、まるで海外の空港のトイレさながらに、トイレットペーパーのロールがルンバサイズ、ドアは足元が見えるタイプで、
もちろん天井も見えるし、その上便座がありません。(トイレに落ちずに用をたすコツをパリで習得しました!)
後から知るのですが、発砲スチロールや、段ボールで「マイ便座」を作っている子がいたり、
どうしたら、こんなところが汚れるんだろう?っていう使い方の人がいるのか、、、世界は広いなと身をもって勉強しました。

シャワー室は、シンプルにシャワー室が6つぐらい並んでいるだけ、着替える場所なんてありません。ボディーソープ、シャンプー、リンスはもちろん持参です。ただ、シャワーの出は非常に良かったです。

地下には、共有のキッチンとダイニングルーム。寮唯一のテレビがココにあります。(ちなみに、100人以上の女子がこの女の園で暮らしています。)
朝と夕方はチャンネル争いが日常でした。とにかく先に見ている人にチャンネル権があります。
朝は、「M6」(MTVのフランス版)で基本満場一致でした。たまに、真面目な子が「France2」とかのニュースを見てたら、とりあえず「M6にしてもいい?」とは聞いてみますが、「NON」の確立が高いです。この手のタイプは、、、
夜はかなりハードな戦いです。18時台と21時~22時台に大きなチャンネル争奪戦が繰り広げられます。
当時の18時00台は、「ビックディール」という大人気のクイズ番組(日本の「ザ・チャンス」(伊藤四郎さんが司会のクイズ番組)のフランス版です)
対 M6の「スパーマン」(のち「アリーマクビル」だったかな?)アメリカのドラマでした。勝負は「ビックディール」の勝率が高かったので、私も楽しみに見ていました。
21時以降は、テレビ権よりも、席がほぼアフリカ系の子で満席になり、ダイニングが「美容室」に変身するのです。
友達同士で、本格的なヘア編み込み&スタイリングの場と化すのです。
なので、朝のダイニングルームで、謎のカラフルなエクステンションを床で発見する日も少なくないのです。

他にもエントランスホール横の図書館は、不夜城です。
語りつくせないほどのエピソードが詰まった図書館はまたの機会に。

失意のパリ初日は、旅の疲れと落胆疲れでベッドの上畳んであったシーツに毛足の短いチクチクしそうな軍物毛布の広げて身体に直に当たらないようにして眠りにつきました。
この初日の夜の何でもない行動が、翌日からのパリライフをとんでもない方向に導いてくれるのです。

●本日の舞台は・・・
Palais de la Femme


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