文化の先へ
2012年。いまから10年前。
星野ゲンキ28歳。
新潟バリスタ協会というステキなグループがあり、新潟伊勢丹の「ショコラモード」というバレンタイン催事で「バリスタたちのセッション」という形で、いろんなバリスタやコーヒーパーソンとセッションしてた。
僕は2012年の立ち上げのときに、たまたま勤めていたタリーズコーヒーが閉店し(現在のTSUTAYA併設の南万代店。経営者変更のため、前のお店は閉店)、自分で事業をする準備をしていた。
いまと違い、確固たる数字の裏付けとかはなく、ただがむしゃらに「コーヒー愛」を武器に、新潟のイケてるバリスタたちと一緒に伊勢丹に立たせてもらった。
ラテアートは、いまから10年前はまだまだ浸透してなくて、伊勢丹の催事会場で「ハート」「リーフ(ロゼッタ)」を描くだけでも大歓声がおこった。最高に楽しかった。
あれから10年。
いまは、コロナ禍で伊勢丹ショコラモードのカフェはお休みしているけど、新潟には確かにコーヒー文化が根付いた。
県外のバリスタや、コーヒー仲間が「新潟のバリスタ、コーヒーパーソンの仲の良さ、横のつながりは本当にすごい」と言ってもらえる。
そりゃあ、そうだ。
手をつながなけりゃ、文化は根付かない。安っぽいプライドなんか今すぐ捨てて、隣のバリスタやコーヒーラヴァーズと仲良くなろう。
ぼくが見ている先は世界だ。
オーストラリアの人気のカフェは、1日で500杯を超えるカフェラテを提供する。
イタリアのバールでは、1日に1000杯を超えるカッフェ(エスプレッソ)を提供する。
そうだ。まだまだこんなものじゃないんだ。世界の先進国といわれる国のコーヒー文化は。
コーヒーの良さはなにか。
それは、ぼくは「自由なところ」だと思っている。
浅煎りの果実のようなコーヒーもいいし、深煎りでネルドリップでいれる甘くて苦くてトロッとしたコーヒーもさいこうだ。
焙煎もたのしいし、もちろんコンビニコーヒーだってさいこう。
スターバックスってステキなカフェはいたるところにあるし、個人店のイケてる店も、新潟にも増えてきた。
1日30億杯以上飲まれる魔法の飲み物。
コーヒー。その神秘に、ぼくはまだ取り憑かれたままだ。
10年前の僕へ。
「描いていたカフェやバールはやっていないけど、10年前の君が一生懸命タネを蒔いた芽は、あちこちで実っていて、いまも君は楽しそうだよ。そう、あの頃よりさらに力をつけて、でも、あのころと同じ。あなたのお役に立つために力を使っているよ」
さぁ、いこう。
今日もこの命、あなたのために。
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