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今週の詩(立秋)|「秋の手帖」(工藤直子)

おはようございます。詩のソムリエです。

今朝、目がさめて外に出たら、すーっと涼しい風。
空をあおぐと、いつもより透明感がまして空高く見えました。
昨日はまぶしい青にもくもく入道雲だったのに、急に大人っぽい…。

"夏と秋よ おまえたち
「きのう」と「きょう」のあいだで
どんな話し合いをしたんだい?"

工藤直子さんの「秋の手帖」の一節がふいに頭をよぎりました。
こんな詩です。

「秋の手帖」

ついきのうまで
入道雲が ドーダドーダと胸をはっていた。
それがなんと きょうは
いわし雲が 高い空いちめんに泳いでいる。

ついきのうまで
太陽は パンツいっちょで のっしのっし、
それがなんと きょうは
太陽ったら ヨソイキのシャツで ふふふ。

(中略)

夏と秋よ おまえたち
「きのう」と「きょう」のあいだで
どんな話し合いをしたんだい?

季節の神さまから新しい手帖をもらって
すこしドキドキする。
――これからの日々に
  何を書き込むのかわたしは。

「あいたくて」所収

夏の入道雲の「ドーダドーダ」太陽の「パンツいっちょで のっしのっし」という表現がいかにもでユーモラス。

季節が変わるというふしぎを、空のうえでの「話し合い」という表現にしたり、"新しい手帖をもらって/すこしドキドキする" と言ったりするのも、工藤直子さんらしくて、かわいい。

彼女の心は、いつもいつまでも生まれたてなんだなぁ。だから、「かわいい」って言っちゃいます。

秋の新しい手帖。みなさんは何を書き込みますか?


立秋といえば、若山牧水のこんな歌も。

風立ちぬ、いざ生きめやも。
秋立ちぬ、いざ生きめやも。

今日もすてきな一日になりますよ!
楽しい秋のはじまりを感じながらすごしましょう。

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