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鯉のぼりの、その先/まど・みちおさんと自己肯定のはなし (こどもと詩②)

詩のソムリエが子育てのなかで考えた、詩のはなしをちょこっと。
前回の話⇨「詩のソムリエ、母になる」

来るぞ!初節句

3月、4月生まれの男の子の親を悩ます行事がある。それは「初節句」。

わが子も生まれたばかり。産後ダメージを受けたまま24時間体制のお世話と細切れ睡眠で、体も頭もヘロヘロ。そんななか、気がつけば迫り来る初節句。(お宮参りも…お食い初めも…あ、出産祝いのお返しも…)

なにする?どうする? 混乱である。

鯉が龍になる必要はあるのか?


いったん落ち着こう。
初節句といえば、鯉のぼりを飾るのが伝統である。このところ、いかにも「薫風」というかんじのさわやかな風がふきはじめ、思わず「たっちっばーなか〜お〜る〜朝〜風に〜たーかーくお〜よ〜ぐ〜やこいのぼり〜♪」などと朗々と口ずさんでしまう。

でも…。ふと思う。

鯉のぼりは、龍になる必要があるのだろうか?

どの子もその子らしく生きればいいと思うし、自分じゃないものになりたがろうとしなくていいと思う。

時代は令和。鯉は鯉であることを楽しんで生きればいいんじゃない?
Be Myself!


まど・みちおさんの詩は自己肯定にあふれている


そう思った時、詩人まど・みちおさんのお顔が浮かんだ。何度かこのnoteでも紹介しているが、まどさんは、存在を肯定するひと。

こんな詩がある。

うさぎにうまれてうれしいうさぎ
はねても はねても はねても はねても うさぎで なくなりゃしない
                 まど・みちお「うさぎ」一部抜粋

谷川俊太郎編『まど・みちお詩集』

誰もが知っている「ぞうさん」の歌だって、「そうよ かあさんも長いのよ」は、鼻が長いことをからかわれた子どものぞうが、みずから肯定するはなしなのだ。

結論。鯉は鯉でよい。

で、3月末生まれのうちの坊やの初節句はというと、「お宮参り(生後1ヶ月ごろ)を終えて初節句」というルールを適用して、「お宮参りを終えていない」という理由で来年にスイッと先送った。来年の節句には、鯉のぼりではなくて、まど・みちおさんの詩にちなみ、うさぎかぞうを飾るのもいいかもしれない。

▼まどさんの詩を味わうレシピはこちら


余談:ジェンダーレスに成長を祈りたい

初節句は、鯉のぼりのほかに五月人形も飾るものらしい。伝統は大切にしたいけど、毎日ひどい戦況が伝えられる日々のなかで「武勇」を象徴するモチーフを飾る気には、どうしてもなれない。

鎧や兜が子どもを「守る」ようにという意味合いとされてはいるが、やはり武士・戦いのモチーフであることにはちがいない。

あるいは「金太郎」もかわいいし、「優しい心の持ち主」とされているが、金太郎もまた坂田金時という強い武士の逸話なので、「戦い」の流れをくんでいる。もちろん、元気でたくましく育ってほしいという気持ちは昔の親と令和の親とで変わらないのだけれども。

もし女の子が産まれていたとしても、「お雛様を飾る」ことにも個人的にすこし抵抗がある。「結婚が女性の幸せである」とも思っていないから。

さいきん、友人たちも子にジェンダーレスな名前をつけたりしているし、「男なら…女なら…」という概念は少しずつなくなってきていると思う(そう願う)。

それなのに、子どもの健やかな成長を願うのに「男⇨武勇・出世」「女⇨結婚」の図式があらわな象徴を飾るのはちょっとなぁー。

これからは、性別にとらわれず、「幸せ」の固定概念にとらわれずスクスク成長できるように。ジェンダーレスに祝いたいものだなぁと思う。

なんだろう。タケノコを食べる…とか?
「柔軟に生きてほしいからタコ!」「仲間思いのオオカミ!」とか、それぞれの親が願いを込めた動物のモチーフを飾る…とか?

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今日もすてきな一日になりますように。
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