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【詩】歩く犬をふやす

歩く犬をふやす
歩く犬をふやすための運動
をするためのしなやかな面を仕立てる
企てを笑うひとはいないから
安心していい
この世はつねに盤石すぎた
resilience
或いはわたしたちは新しい風土で
みずからの意志で犬は歩く
歩く犬はふえる
非在の都市に遠い旗はふられ
風穴の空いた犬の穴の向こうに
革命の幕開け

「歩く犬をふやす」草間小鳥子

春頃から「犬」をテキスト化した際に表出する無生物性を感じていくつか習作を書いていましたが、今回は「歩く犬をふやす」。
このワードの不可解さを決定づけているのは意外にも「増やす」という他動詞なのではないかと考えています。

わたしは猫派ですが、引き続き「犬」というモチーフにはこだわってみたいと思います。

「歩く犬をふやす」は、わたしが考えたものではありません。
この言葉と出会った経緯についてお話ししましょう。

わたしは現在スタートアップ企業で働いており、ちょうど会社のミッション・ビジョンを策定するタイミングに立ち会うことができました。
外部のコピーライターの方などとディスカッションやワークショップを重ね、ついにキャッチコピー候補が絞られてきたので、プロジェクトチームとコワーキングスペースに集まって全てのコピー候補を壁に貼りながら意見を言い合おう、という時。
壁に貼られた候補の一枚が、「歩く犬を増やす」というものだったのです。

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