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映画「遠いところ」音楽

茂野です。
コロナウィルスが一見(一瞬?)収まり、私の周りでは映画公開ラッシュとなっています。私は普段、映画音楽家として活動していますが、私が音楽を担当した作品もこの夏2本公開となります。

映画「遠いところ」

今回取り上げるのは、7月7日全国公開、工藤将亮監督「遠いところ」
沖縄で生まれ、沖縄に住む若者たちの生きづらさ、生活困窮の実態を鋭く描き、私たちに強いメッセージを投げかける社会派映画です。
物語の舞台沖縄では6月9日から先行上映が始まり、劇場3館2週間集計で、観客動員1万人を超えるヒットとなっています。この勢いに続く形での全国公開が楽しみです。
コザで2歳の息子を育てる17歳の母親が主人公。暗闇の中を這うような彼女の人生。遠い先の微かな光を求めて歩き出す姿が描かれていきます。
映画のコピーが秀逸です。
 
映画、ではなく現実
次の世代に残してはいけない問題がここにある
 
公式HPに詳しく情報が載っています。


工藤将亮監督

工藤監督との出会いは、Poetic Mica Drops の映像でお馴染みの宮嶋風花監督がきっかけでした。
宮嶋監督「愛のゆくえ」打合せの場で、その日初めて会ったプロデューサーK氏から、実は他にもう一本すでに撮影済みで音楽家が決まっていない作品があり、一度仮編集を見ていただきたい。そして興味を持ってもらえたら音楽依頼を前提に監督を紹介したいといという話し。これが始まりでした。
そこから長いポスプロの日々。ポスプロとは、撮影後の映画仕上げ作業の総称。編集、サウンドデザイン、音楽制作、CG作成、など。
工藤監督の作品に対するこだわりは強く、最初の完成披露試写版(≒ディレクターズカット版)の後、海外映画祭バージョンから国内公開バージョンへと度重なる編集替えと音楽改訂を行い、ポスプロだけで1年以上かけています。

海外版ポスター


憂鬱な音

音楽は憂鬱な音を意識しました。モヤモヤした音質のピアノをさらに少し歪ませ(音を汚し)、不穏なチョロと漂うグラスハープと共に、この映画全体を包んでみました。
その音を少しお聴かせします。ディープな沖縄に生きる若者の曇った心、歪んだ人間関係を音で表現してみました。


映画音楽とは

私が映画の音楽を作るときに意識することは、いい音楽作品を作るのではなく、いい映画を作る、ということ。
映画の音楽とは、音楽だけを聴くための音楽作品ではなく、そのシーンに入れてセリフや状況音と共に映画を作る重要な音要素の一つだと考えています。
そういう意味では、このnote記事内で音楽を聴いていただいた上で、ぜひ劇場で映画をご覧いただきたいです。映像、芝居、セリフ、状況音、音楽、その全てが関係し合って映画は出来あがっています。


挿入歌「遠い海の子守唄」

「遠いところ」では全体をモヤモヤした音楽で構成していますが、一か所だけ違った印象で挿入歌が入るシーンがあります。
曲名「遠い海の子守唄」歌:平川めぐみ
どこのシーンにどういう意味でこの曲が入っているか、劇場で観て、様々感じてもらえたらうれしいです!


「遠いところ」サントラ

映画「遠いところ」サントラアルバムを7月7日に配信リリースします。
Spotify、Apple Music など主要な配信サービスには全て入りますので、チェックしてみてください!

アルバムジャケット


もう一つの映画とPoetic Mica Drops の活動

今夏公開のもう一つの映画についてはまた次の回に書いてみます。
こちらは「遠いところ」とは真逆の作風です。

そして今、Poetic Mica Drops「今日、京都とミカと猫。」サントラ・フルアルバムを制作中です。シーズン1とシーズン2まとめて収録する予定です。
リリース情報は追ってお知らせします。ご期待ください!

茂野雅道

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