元気が出るゲーテの名言たち - 『ゲーテ格言集』(新潮文庫)
ドイツの文豪ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ(1749-1832)の名言を引いてみます。
人間のあやまちこそ人間をほんとうに愛すべきものにする。
正しければ愛されるわけではない、ということですね。
人間は、なんと知ることの早く、おこなうことの遅い生き物だろう!
ゲーテは「おこない」、つまり行動することを大変、大切にしていました。
誠実に君の時間を利用せよ!
何かを理解しようと思ったら、遠くを探すな。
堅実なあり方です。
財貨を失ったのは──いくらか失ったことだ!
勇気を失ったのは──すべてを失ったことだ!
生まれなかったほうがよかっただろう。
強い言葉です。勇気、決断、行為すること。それらをゲーテは尊んでいたのです。
すべての階級を通じて、一段と気高い人はだれか。
どんな長所を持っていても、常に心の平衡を失わぬ人。
ゲーテは情熱を大切にするのと同じくらい、中庸の徳を尊んだひとでした。
豊かさは節度の中にだけある。
放逸を戒め、「制限」を大事に考えたゲーテです。
地上のあらゆる所有の中で、自分のハートが最も貴重なものである。
目に見えない心(ドイツ語で Herz ヘルツ)を大切にしています。
誤りはわれわれを決して去らない。だが、より高い要求が、
努力する精神をたえず真理へ静かに引きあげる。
「真理」に到達して完成することはないけれども、人間は誤りを克服していく姿に美しさがある、ということでしょう。
わたしたちの胸の清いところに、
より高いもの、より清いもの、知られざるものに
感謝の念から進んで身をささげようとする努力が波打っている。
そして永久に名づけえられぬもののなぞを解こうとする。
わたしたちは、それを敬虔であると呼ぶ。
晩年の失恋のあとに作られた詩より。「敬虔」にたどり着くところが、穏やかな知性を持つゲーテらしいと言えます。
私はこう勧めたい。何も無理じいをせぬことだ。何もできない日や時には、後になって楽しめないようなものを作ろうとするより、ぶらぶらして過ごしたり、寝て過ごす方がいい、と。
同じく晩年の言葉です。終生、徳を追い求めたゲーテも、「無理をしてはだめ」と言っています。さすがのバランス感覚です。
ほどよく充実と浄福を楽しめ、
生が生を楽しむところには
常に理性をあらしめよ。
そうすれば、過去は常住にあり、
未来はあらかじめ生き、
瞬間は永遠となる。
これは「遺言」と題された最晩年の詩です。美しいですね。
『ゲーテ格言集』新潮文庫、高橋健二編訳
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