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無心で淹れたコーヒーの味わい

せっかく休みをとったのに、春のポカポカ陽気なのに、散歩にも買い物にも出かけず家で過ごす。そんな休日の過ごし方を「天気がいいのにずっと家にいるなんてもったいない」って誰かが言った。

行動は変化をもたらすからいいことだけど、たまにはなんにもしなくたっていい。
気乗りしないことを無理にやらなくてもいい。静の時間を過ごすって贅沢なこと。

そんな休日、一番豊かさを感じたのはコーヒータイム。いつもと同じ豆で、いつもと同じ淹れ方で、いつも通り丁寧に淹れたのに、いつもより格別に美味しかった。きっといつもとは何かが違っていたからだ。

ガリガリという音を聞く、ふわっと立ち上る香りを嗅ぐ、豆を挽いている時に手に伝わってくる感じ、それぞれの感覚だけをみつめていた。いつもやる「美味しくなれ」のおまじないもかけなかった。ずっと無心。
淹れ終わったコーヒーをひと口飲む。口の中でどんな味わいがひろがるか観察。雑味がない。カカオ72%チョコみたいで大好きな味。ビターのあとに柔らかな甘みがして余韻を残しながら消えていった。

そんなふうにコーヒーを淹れている時間は、今、この瞬間を大切にする、マインドフルネスみたいだと思った。
無心で淹れたコーヒー一杯が、何もしない休日に豊かさをもたらしてくれた。

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