見出し画像

引っ越しにまつわるミラクル

今住んでいるマンションは4月が更新月。上階の異様な騒音さえなければ更新していたはずだった。深夜、早朝の生活音とはかけ離れた騒音に耐え続けてきた。管理会社へも何度もクレームしたけど改善されず。悩んだ末、3月31日に更新しないと決めた。

それから部屋探しが始まった。退去まで1ヵ月。審査やら手続きのことを考えると10日以内をめどに次の住まいをみつけて決めなければならない。不動産屋さん任せにせず、ネットで募集中の物件を見つけると自転車で外観だけでも見に行くこと数十軒。必死だった。

何軒かは内見もしたけど、条件のわりに家賃が高い、エリアに漂う気が陰って感じ、よさそうな物件はすでに先約あり、「ここがいい!」っていう部屋がなかなかみつからないまま1週間が経過。長い時間過ごす住まいに妥協はしたくない。退去日までに決まらなかったら、荷物をトランクルームに預けてビジネスホテル暮らしという手もある、と思いながら(表向きは)あせらず探していた。

ここからが(今思うと)ミラクルの連続。部屋探しをお願いしていた不動産屋さん2軒とも、土日はアポでいっぱいで対応できない、と言われたので、自分で部屋探ししている時に、気になる物件をみつけ、取り扱い会社へ連絡してみた。土曜日なのに「ちょうど前のお客さんの対応が早めに終わったから今からのご来店で大丈夫です」と。
この土日で部屋をみつけないと、と思っていたのですぐさまその店に向かった。ベテランの担当者が私の出した条件を元に探してくれる。いくつか条件に合う物件はあったものの2階ばかり。4階以上が希望条件なのだけど・・・。
15分経過。ネットや他の不動産屋さんで紹介された物件しかでてこない。祈るような、すがるような気持ち。

すると担当者が奥の部屋に行き、しばらくしてから1枚の物件リストを持って戻ってきた。条件にほぼ合致する物件で、なおかつ家賃が予算よりも安い。それまで予算をかなりオーバーするものばかりだったのに。
なんでもそのマンションの数部屋を、とある会社が社員用に用意していたが、コロナ禍で採用が見送られたため確保していた部屋が不要になった。管理会社からしたら、空部屋のままにしておくよりとにかく早く入居してもらいたいから、一部屋だけ破格の家賃で募集した、公募していない物件ということだった。それをベテラン担当者がどういう検索をしたのかわからないが探し当て私に紹介してくれたのだ。

「私ってついてる~」
まだ入居中のため内見はできず、間取りや部屋の写真とグーグルマップで周辺環境を見ただけでいったん申し込みをした。

その部屋を内見してみて万が一、気に入らなかったら・・・また部屋探し。それは避けたい。絶対に問題ない、快適な部屋だ、って思いながらの1週間がたち、とうとう今日が内見の日。

よかった、問題なし、ここでいい。
やっと心からホッとした。

その部屋を見ながら
「今の部屋と比べて」広い、
「今の部屋と比べて」狭い、
何をみても「今の部屋」と比べていることに気づいた。
もう手から離れるものと比べても何の意味もないのに。

いつもの部屋に戻ってきた。
「私、この部屋、このエリア、とっても好きだったんだな」
少し寂しくなった。名残惜しかった。
狭いと思っていたけど、他と比べたら広かったんだ
収納が少ない、と思っていたけど、他と比べたら多い方だったんだ、
今度は「他と」比べだしていた。

比べたところで何が変わる?何の意味がある?
いままでこの部屋に住めたことに感謝。新しい部屋とめぐり会えたことはご縁だから、きっと私にとって最高なものに決まっている。

変化する時、いままであったものへの愛着や名残惜しさを感じたら、未来に目を向けようと思う。
「私は新しいものを手に入れた。変化を起こした。古くなったものを手放し、新しいエネルギーを取り入れることができるんだ。それは進化であり、喜ぶべきことで幸せなことなんだ」

いただいだサポートは、感動や喜びを見つける旅のために使わせていただきます。 インスタに身近にある素敵なものをアップしています。 https://www.instagram.com/poemist_akemi