守るべき大切なもの

いつ物がなくなるかわからない不安のせいか、スーパーは開店直後から押し寄せた大勢の客が、かごいっぱいに食材を入れていく。からっぽになった陳列棚を見ると悲しくなる。物が豊かにあって、なんでも手に入るのがあたりまえだったから、”ない”ということに慣れていない。

物がどんどんなくなっていく様子を見て、つられてまだ家にあるものまで買ってきた。私も踊らされてしまっていた。

どれだけ家に備蓄するつもりなのだろうか。それは、いつ終わるかわからない戦いのめどがつくまで？　ということはしばらくの間、この争奪戦が続くのか。

去年のクリスマスに入院と手術をしたことを思い出した。
クリスマスプレゼントなんてどうでもいい、物欲は消えた。
今日は絶対ウナギを食べたい、といった執着も消えた。
ただ、自分を守り、健康を取り戻すことしか頭になかった。

本当に大切なもの、守らなければならないものはなにか、
優先順位をつければ、多少の不自由は気にならなくなる。