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フォトエッセイ 線香花火に見る人の一生

花を見ていたら、線香花火を思い出した。花火の季節にはまだ早いけど、私は夏以外でも線香花火をすることがある。ベランダの暗いところで線香花火に火をつける。1本の花火が終わるまで見つめているととても落ち着く。

花火に「線香」という名がついているから、亡くなった人に捧げる花火なのかなと思っていたら、江戸時代、線香のように香炉に立てて火をつけて楽しんだからだという。

線香花火は、蕾、牡丹、松葉、柳、散り菊、と名付けられた5段階の燃え方をする。着火して、燃え盛り、飛び散り、衰えて、やがて消えてなくなる。人の一生を表すという人もいる。

だからかな、激しく暴れるように燃えている時は嬉しくて、勢いが弱まってくると物悲しくなるのは。すーっと吸い込まれるように静かに消えていく、命の最期ってこんななのかな。

線香花火をしている時は、生きざま、一生を見せられているように思う。
「消えないで」「落ちないでがんばって」と願ったところでどうすることもできない、定められた花火の一生をただ静かに眺めるだけ。

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