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フードコートで大盛りを躊躇なく頼んでいるアラサー女性がいたら、たぶん。

それは、けっこうな確率で授乳中の女性なんじゃないかと思う。

というわけで今日は、授乳期の大食いについて熱を込めて書きます(笑)。

なんだそのどうでもいいトピック、と思った方。

まあ確かに、授乳期の女性がどれほど腹ペコなのかについて知ったところで、あなたの人生が大きく揺れ動くことはまあ……ないだろう。

でもそんなどうでもいいことをストックしておくことが、人生をちょっと豊かにすると思いませんか。機微を味わうとでもいいましょうか。ええ。

いやまあ実際、0歳児育児中の女性から「理解ある男性」として一目置かれる存在にはなるだろうな、うん。そのくらいだけども。

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なぜ私がこのどうでもいいトピックについて書こうと思ったかといえば、それはいつものごとく、「自分がその立場になるまではまったく知らなかったが、その立場になるととても強烈に重要なこと」だからである。

妊娠前は、「赤ちゃんはおっぱいやミルクを飲むよねー」ということくらいしか知らず。

妊娠中にも、「授乳中はどうやらお腹がすくらしいねー」、くらいの表面的な情報しか知らず。

しかし! いざ授乳期間に入り、母乳が軌道にのってくると!

すく、とにかくすく、お腹がすく……!!

しかも、炭水化物が食べたい。ごはん!ごはんもう1杯!
おやつもお菓子じゃ全然足りない。パン!団子!むしろおにぎり!

食べても食べても、お腹がすいている。なんじゃこりゃ。

妊娠前の2倍以上食べてても、母乳マッサージで裸を見られた助産師さんに「お母さんそれ以上痩せないほうがいいよ」とか言われるレベル。

エネルギー入れても入れても、入れたそばから赤子に吸い取られてゆくのです。

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この感覚は想像以上で。衝撃をうけた。

そして、自分も妊娠前は「授乳中はお腹がすくらしい」という情報すらまったく知らなかったことを考えると、世の中のマジョリティはこの事実をまったく知らないか、聞いたことはあってもそれほどまでとは思っていないはずだ、と思いいたった。

実家に帰ったとき、子育て経験のある実の母からも私の食欲に驚愕されたほど。もちろん個人差のあることだと認識しているが、これくらいお腹すいてる授乳期女性は、少なくとも私ひとりではないはず(授乳中の友人と「お米の消費量はんぱないよね!」という会話をしたし)。

ならば少しはこの見逃されがちな、とるにたらないトピックに、熱を入れて語る奴がいてもいいんじゃないかと、いらぬスイッチが入っているわけであります。

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さて、そもそも前提として、妊娠前の私は、小柄(チビ)な体型もあって「ごはん少なめ」がデフォルトだったことを書き添えておきたい。

外食ならば標準量でも多すぎて、残すのが申し訳ないので「ごはん少なめで」とオーダー。炭水化物ダイエットなんて言葉が流行る前から、単に多すぎるからそうオーダーしていた。

それが授乳最盛期は、標準量でもむしろ足りない。

自宅ならおかわりし放題。
外食でも迷わず、大盛りオーダー。

……恥じらいも余裕で乗り越える食欲。

成長盛りの男子学生や、働き盛りのメンズのためだと認識し、一生縁のないものだと思っていた大盛りを頼む日がやってくるとは。まさに青天の霹靂である。

「大盛り無料」なんて目にした日には、うはうは。

三十路をゆうにこえたおばちゃん、食欲だけは男子高校生か。

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その日私は、夫と娘とショッピングセンターに来ていた。ランチタイムが近づき、子連れの聖地とも言えるフードコートで昼食をとることに。

まあ、授乳前とは店揃えを見る目が違う。

授乳中の私は、「炭水化物どんとこい!」モードで目を光らせて戦闘態勢である。

例えば、独身時代は大好きだったサブウェイ。今も味は好きだけれど、同じ値段を払ってお腹の満たされ具合を考えると、「1個じゃ足りないわ!」と真っ先に選択肢から外れてしまう。まさに「カフェ飯?女子受けはいいけど正直足りなくね?」的な、男子学生の発想である。

そして目が無意識に「大盛り無料」にとまる。潜在意識下だろうが必要な情報を得られるように、人間の脳はできている(笑)。

*  *  *

大盛り無料にロックオン、リンガーハットで「長崎ちゃんぽん麺大盛り1.5倍で!(大盛り無料ラッキー!)」と男子高校生的オーダーを意気揚々とする私。

そのかたわらで、なんとその日の夫は「今日はミスド」とのたまう。

「え!?ミスド!?しかも、飲茶とかじゃなくて?ドーナツだけ??」

「うん、今日はそんな感じでいいかなー」

「・・・・・・」

妻はちゃんぽん大盛り、夫はミスド。

しかも飲茶メニューとかじゃなく、ドーナツオンリー。まじか。女子か。キミ私をひとりにするのか。

……と、独身時代の私なら思ったかもしれないが、もはや少しも気にならない。いや、強がった、少ししか気にならない。とりあえずそれを注文前に聞いても、「えー、じゃあ私もドーナツにしようかなぁ〜」とは、間違ってもならない程度に。

オーダーは変わりません!

ビバ、大盛り無料!

*  *  *

このメモを書きためていた日も、スーパーのお惣菜コーナーで買ったネギ塩チキン弁当(1000kcal超え)を、もたれるかしらね〜と思いながらペロリと平らげ、なんならまだ食パン1枚くらいヨユウでいけそうであった。

すさまじいのだ、授乳期の食欲。

さらに驚くべきことに、これだけ食べても体重は減っていく。私の場合は、妊娠前ー2kgくらいが授乳中の標準だった。

すさまじいのだ、赤子の吸収力。

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いつか、いつか書いてやる……大盛りを頼む世の母ちゃんに肩みの狭い思いをさせないためにも!

と思いながらメモだけはしていたこのトピック、授乳期をもうすぐ終えようというこの時期になってようやく書けた。

離乳食が進んで授乳回数が減ると、赤子に吸い取られる量が減った分、授乳最盛期に比べると食欲は明らかに落ち着いてきた。

茶碗1杯分のごはんで「あー、お腹いっぱい」と発言する私に、夫がおどろく。

どんどん吸い取られれば、必要だから食欲もどんどん増し、吸い取られる量が減れば食欲も自然と減る。

人間として脳で考えるものではなく、動物的に、体の方がよく知っている。妊娠時に引き続き、体から教わる。

つくづく、生物はうまいことできているもんだ。

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※注:言わずもがなですが授乳中の食欲や体重には個人差があります。あくまで私のケースです。こういうケースもあったりするのよーということで、ひとつ。

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。