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「持続可能な社会」のつくり方 〜ポケマル編〜

「持続可能な社会」

最近よく耳にする言葉ですが、その意味にじっくり向き合ったことはあるでしょうか。

持続可能な社会とは「どのような」社会なのか。
「なぜ」持続可能でない社会になってしまったのか。
持続可能な社会は「どうすれば」実現するのか。

暗黙的に目指されるようになった「持続可能な社会」ですが、その本質は「どういう社会でありたいのか」という問いなのだと思います。

「持続可能な社会」の実現が叫ばれる今、ポケットマルシェ(ポケマル)が「どういう社会でありたい」と考えているのかを明確に表明し、同じ志を抱く方々と一緒に進んでいきたい。そんな想いから、この度、コーポレートサイト上で「サステナビリティページ」を公開しました。

このnoteでは、ポケマルの「サステナビリティページ」に込めた想いについて綴ります。

行き詰まった現代社会

自分が生きている間に、地球が暮らせない場所になってしまったら?
そんなことを本気で考えなくてはならないような時代を、私たちは生きています。

人間の活動は地球環境に大きな負荷を与えてきました。気候変動や生物多様性の損失などは、すでに地球の限界に達していると言います。

また、人間社会では、経済効率と合理性が際限なく追い求められる中で、人間の個性や人格は切り捨てられてきました。自然や生身の人間とのつながりは希薄で、生きる実感も失われています。

現代社会は、地球環境も人間社会も行き詰まっています。

ポケマルの問題意識は「分断」

この行き詰まりの本質は「分断」である。

そう、ポケマルは捉えています。効率化・大規模化の過程で、もともと一体であったはずの消費者と生産者、都市と地方、人間と自然が切り分けられ、お互いがお互いを認識できなくなりました。

例えば、コンビニでお弁当を買うことを想像してみてください。私たちは誰に対して、何に対してお金を払っているのでしょうか。コンビニの店員さん、運送業者さん、お弁当や容器を作る工場の方々、工場のある地域、お弁当の食材をつくった生産者さん、食べものを育んだ自然...…もっとたくさんの人・ものが関わっているかもしれません。私たちはそこに十分な対価を払っているでしょうか。自然や文化など、大切なものを損なったりしていないでしょうか。

普段買い物をする時に、こんなことはあまり考えないと思います。また、関わっている人やものを知ろうとしても、わからないことの方が多いです。そのため、結果として誰かから搾取していても、自然環境に対して大きな負荷をかけていても、気づくことは難しいです。気づいたとしても、何をどうしていいかわからないかもしれません。

分断された社会では、自分の生活が何に支えられているのか、また、何に影響を与えているのかを知ることが難しいのです。そのため、自分の生活と密接に関わっているはずの人や自然を、知らず知らずのうちに蔑ろにしたり、損なってしまいます。その結果が、この行き詰まった社会なのだと考えています。

個と個をつないで共助の社会を実現する

では、どうすれば行き詰まりを解消できるのでしょうか。

ポケマルの出した答えは、「分断を乗り越える」ことでした。

10年前に起きた東日本大震災は、現代社会の行き詰まりが露わになり、多くの人が生き方を考え直す契機となった出来事でした。

東北の農漁村は、震災前から過疎・高齢化で疲弊していました。食べものをつくっている生産者さん自身が食べていけない、後継者がいない、自然環境が悪化している...…一方で、都市では自然と切り離されて身体感覚が失われ、生身の人間とのつながりも希薄になっていました。

そのような地方の生産者と都市の消費者が、東日本大震災を機に被災地で出会いました。

ボランティアとして被災地に訪れた都市の消費者たちは、地方の実態に心を痛めたり、食べものの裏側にいた生産者さんの哲学や生き様に共感したことで、継続的な復興支援に参加していきました。一方で、東北の自然に触れ、目の前の困っている人を助け感謝されることで、都市生活では得にくかった生きる実感ややりがいを得て、支援に来たはずが逆に被災者から救われる場面もありました。

分断されていた消費者と生産者、都市と地方、人間と自然が出会い、お互いに助け合って生きていく。「これこそ目指すべき社会の姿だ」と代表高橋が確信したのが、東北食べる通信、そしてポケットマルシェのはじまりでした。

分断されている個と個がつながることで、自分を生かしてくれている存在、自分が生かしている存在に気づきます。そのような存在について深く知って、自分ごと化して考えられれば、蔑ろにしたり、無意識のうちに損なったりすることなく、共に助け合うことができます。

自分の毎日のお買い物が、生産者さんや自然環境とつながっていたことに気づき、「ちゃんと知ってお金を払いたい」と思うようになったユーザーさん。
生産者さんや自然に感謝して食べものを大事にし、幸せに食卓を囲めるようになったユーザーさん。
ユーザーさんからの「ありがとう」「ごちそうさま」の言葉によって、仕事にやりがいや誇りを取り戻した生産者さん。
生産者さんのいる地方に継続的に関わるようになったユーザーさん。
食べものを通じて育まれた関係性があったことで、非常時にも助け合えた生産者さんとユーザーさん。

ポケマルでは、日々たくさんの変化が生まれています。この変化をどんどん起こしていきたい。そう思っています。

共助の社会は持続可能な社会

「認証のあるものを買おう」
「プラスチックをなくそう」
「食品ロスをなくそう」

「SDGs」や「持続可能な社会」という言葉とともに様々な行動が呼びかけられていますが、自分を生かしてくれている存在、自分が生かしている存在が見えづらい今の社会では、「この行動さえとれば問題が解決する」というような唯一の処方箋はないように思います。

認証は取得費用が高くて取っていないけれど、同じ志を持って同じ基準で生産に携わっている。
そんな風に、パッと見ただけではわからない情報もあるかもしれません。

包装をなくせばプラスチックゴミは減るけれど、早くに鮮度が落ちて食品ロスになってしまうかもしれない。
そんな風に、トレードオフの状況に陥ってしまうこともあるかもしれません。それなら鮮度の落ちにくい品種を育ててみよう、とまったく違うアプローチが出てくることもあるかもしれません。

問題の背景はとても複雑です。呼びかけられる言葉に対して機械的に行動するだけでは、本当の意味での解決につながらなかったり、表面的かつ一時的な取り組みにとどまってしまいかねません。

だからこそ、各々が問題の背景を知り、自分の頭で考え、行動することが大切なのだと考えます。自分を生かしてくれている存在、自分が生かしている存在と関係性を育むことは、そのきっかけになるはずです。関わり合いの中で生まれる各々の変化を、ポケマルは大事にしたいのです。

ポケマルがビジョンに掲げてきた「共助の社会」は、持続可能な社会でもあると信じています。

新企画「世なおしするべ!」

ポケマルの考える「持続可能な社会」を一緒に目指す仲間を募るため、新しい企画「世なおしするべ!」を立ち上げます。

「世なおしするべ!」は、代表高橋が現代社会の抱える問題の本質に迫り、有識者の方々と熱く対談するイベントです。問題への理解を深め、解決のための行動を参加者のみなさんと一緒に考える場にしていきます。

第1回は解剖学者の養老孟司さんをお招きし、「持続可能な社会」をテーマに対談します。養老さんは、自然が排除された都市で頭ばかり使って働く人が多い社会を「脳化社会」と呼び、都市と地方で一定期間ずつ住む「平成の参勤交代」を提言しています。そんな養老さんの「都市と地方」「人間と自然」に対する視点から見た、「持続可能な社会とはどのような社会か」「どのように目指していくことができるのか」について、お話を伺います。

申し込みはこちらから受け付けていますので、ぜひご参加ください。

毎月様々なゲストをお招きしていくので、楽しみにしていてください!

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ポケマルのサステナビリティページ、ぜひご覧ください👀


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