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「生きている価値がない」に答える

介護が必要になった義父は、一日の大半をベッドで横になっている。
まだ元気だった1年くらい前からだろうか、口癖のように「生きている価値がない」と言うようになった。

多少認知症が疑われるものの、まだ考える力は充分ある。
もともと話すことは上手くないこともある。


先日も「あのな、本当のことを言うとな…」と言うので、何?なに?どうした?と思っていると、「こんな思い通りにいかなくなったら、生きとる価値はない!」と。

えぇー、また〜? それ聞くの今日で38回目だ よ〜と言いたかったけど、黙って聞いた。
看護師さんの話では、そう言う人は結構あるらしい。

義父はネガティブな性格に加え、他人の悪口や、馬鹿にしたようなことばかり言う人だった。
口から出た言葉は自分に返ってくると言うけれど、今まで自分の言った価値観に傷めつけられてるように見える。

義父の生き様から、私は何が得られただろう。
反面教師でもいい、義父から学んだものは…。
今は見つからない。
義父の年まで生きたら、何かわかるだろうか。

生きている価値がないと繰り返す義父に、今まで私が返した言葉は、

お父さんは生きてる価値がないと思うほど、辛いんやね。
世の中には生きている価値のない人など、いないよ。
お父さんも、私も、生きてる間は精一杯生きようよ。
お父さんが生きてる価値がないなら、週に何回も遠くから来る私は悲しくなるよ。
私いま仕事がきついけど、頑張ってるよ。お父さんはもう頑張れないか。
辛いのは代わってやれないから、辛抱してね。代わりにできることはするでね。
何か笑える面白いこと、頭の中で考えてみたらどう?

もうこれくらいで、ネタが尽きた。
それでも義父はすごいことを言いそうな雰囲気で、結局「生きている価値がない」と言う。
私だけでなく、訪問看護師さんやお見舞いに来てくださった方にも同じように。

新しい返し、何かないかな。
こちらも同じこと繰り返せばいいんだけれど、せっかくなら楽しく話せたらいいなと考えている。

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