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映画『アアルト』に感じる

映画『アアルト』を観てきた。

名古屋インター付近を走行中、運転していた夫が突然「アアルト行くか」と言うので、慌てて調べる。
席は7割がた埋まっていたが、そうなると余計に観たくなるのが人情だ。

昨日の私は刺激的な一日で、さらに締めくくりに『アアルト』が待っていた。

建築やデザインを語れるほど、私は見る目を持っていない。
映画で注目したいのは、作品以上に「人」だった。

アアルトの妻アイノは、パートナーとして素晴らしかった。
仕事上だけでなく、妻としてなくてはならない存在だったことが伝わってくる。
二人の往復書簡は官能的にさえ感じられ、言葉が心の奥に響いた(日本語訳だけど)。

そのなくてはならない存在のアイノが、まだこれからという時に亡くなってしまう。
今も残るなきがらのスケッチに、悲しみの深さが感じられる。
まるで建築作品のように、同じタッチで描くなんて。

しかしアアルトはいつまでも沈んでいたわけではなく、数年後には若き建築家エリッサと再婚する。

あまりにアイノに似ているのには驚いたが、彼女もまた素敵なパートナーだった。
アアルトの没後は、エリッサが仕事を引き継いでいる。

業績を見れば順風満帆に見える人生だが、ボツになった設計は200、批判を受けることもあったと知り、それを受け止めてもきたアアルトを思う。

ライトやコルビジェとの親交は、想像しただけでぞくぞくした。

下世話だが(文字どおり)、パンツ一丁で立っている写真に、コルビジェじゃないか!と思った。
そんなくだらないこと思うのは私だけかと思ったら、夫もコルビジェのパンイチを思い出したと言った。
はぁ…。

あの時代だからこそ生まれたモダニズム、それを造った人たちが確かにそこにいた。
映画を見て、そんな建築を見て歩く旅がしたくなった。

そしてもう一つは、パートナーの大切さを感じる映画だったこと。
昨日会った友人から、ご主人を亡くした後、次へのステップを踏み出した話を聞いた後だっただけに。

そろそろ人生の秋、心豊かに歩んでいこう。
そんなことを思う帰り道だった。

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