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名古屋人のソウルフードが冷たくなったこの夏(エッセイ)

こう暑いと、冷たいものが食べたくなります。

東京およびその近郊で暮らした学生時代7年間、私が時に無性に恋しくなる《味》が、

スガキヤ(寿がきや)ラーメン

でした。

ある時、船橋(だったと思う)に「寿がきや」が開店した!という噂を聞き、わざわざ食べに行ったほどです。
(現在は関東地区から引き揚げ、東は静岡県まで)

ですから、寿がきやラーメンから隔離されていた3年半の「再勉生活」中は、とても辛かった!

「和風とんこつ」味、というのがここのスープのうたい文句ですが、こってりしておらず、あっさり系で、いわゆるテーブル胡椒ともよく合います。

玉子入りラーメン ¥410 (玉子無しは¥360)

「寿がきや」は、名古屋を中心に東海地方では、地場系スーパーのほとんどにフードコートとして出店しており、とにかく安い!
ですから、この地の中高生はたいていお世話になっています。

私は中学3年の時、毎週学校の塀を乗り越えて校舎横のユニー(今はピアゴ)に出店していた寿がきやで昼ラーメンを食べていました。
それを学校に言いつけた裏切者がいて、職員室で正座させられた上、
「内申書に《素行不良》、と書くぞ!」
と教師におどされました。
この程度で《素行不良》とは、ひどい話です。

もうひとつ、エピソードを。
「寿がきや」はもともと甘味屋から出発しており、
「異性の目を気にせず、女性客に甘いものをたくさん食べていただく」
という《謎?》理由により、市内中心部には、《女性専用=男子禁制》店がけっこうありました。

高校の1年か2年の時、姉とその友人(♀)の3人で栄町えいちょうビル地下にあった「寿がきや」に入り、ラーメンを注文したところ、どうも店の様子がおかしい。

女性店員が、柱の陰から交代でこちらを覗いてくるのです ── まるで映画スターでも来店したかのように。
「なんか、様子がおかしいね」
そう言いながら食事を終え、店を出る時にようやく気付きました。
その店は、《女性専用》だったのです。
私(♂)はその頃、髪を肩まで伸ばしていたので、店の人たちは、
「ひょっとしたら……男なんじゃない?」
と思いながらも確信が持てないため、おとがめもままならず「遠巻きに」観察していたのでした。
(今なら、ジェンダー問題云々でもめそうですが、もう存在しない店舗形態のようです)

《名古屋人のソウルフード》

もちろん、人によって異なるでしょう。
でも、高価な「ひつまぶし」などは枠外ですね。
「きしめん」は論外です。
「矢場とん」「味噌煮込みうどん」を押す人もいるかもしれません。しかし、やはり、
➀ 値段が安い。
➁ 市内どこでも食べられる。

というのが重要な評価ポイントではないでしょうか。

さて、本題です。

この夏、「寿がきや」に新メニュー
《冷たいスガキヤラーメン》
が加わりました。

混乱を避けるために説明すると、以前から、
《冷やしラーメン》
というメニューはありました。
これ(↓)は見てのとおり、いわゆる「冷やし中華」です。

冷やしラーメン ¥520

《冷たいスガキヤラーメン》は違います。

冷たいスガキヤラーメン ¥460

「玉子入りラーメン」と比べてください。
チャーシューがハムに代わっている以外はほとんど同じに見えますよね。
実際、ほとんど同じ!なんです ── 温度以外は。

冷たいんですよ、とっても。

「スープ」も「麺」も、そのままの味で、
「メンマ」も「きざみネギ」も「温玉」もそのままで、
ただ、

冷たいんです、とっても。

斬新ではありませんか!

ハムに代わったのは、冷たいチャーシューでは油身が白くなり、見た目も食感も悪くなるからなんでしょうね。

「寿がきや」ラーメンには必ずついてくる、

《ラーメンフォーク》
も同じです。

スプーンとフォークが《合体》した!

これは、その昔給食についてきた、評判の悪い「先割れスプーン」とは異なり、

スプーンとフォークの役目をしっかり(?)兼ねる優れモノです。
あ、(?)は気にしないでくださいね。

《ラーメンフォーク》は、創業者が環境保護の視点から

箸よさらば

の視点で考案したそうです。
うーむ。ご立派!
……でもやっぱり、麺はお箸が食べやすいかな。

とにかく、炎天下を歩いて来た後、この、
《冷たいスガキヤラーメン》
は絶品です!
冷え冷えのスープも全部飲んじゃいます ── 血圧にはよくなさそうだけど。

最後に、お店に貼ってあった、名古屋弁全開の「求人ポスター」も紹介しておきます。

「はたらこみゃあ、スガキヤで!」


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