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4年後のアメリカ大統領選は翌日に結果が出ているかもしれない

11/7(日本時間11/8)にアメリカ大統領選挙のバイデン氏「当選確実」の報道が出ました。投開票日の11/3からは4日後の報道です。

この4日間トランプ大統領とバイデン氏ともに選挙結果に関して、様々な発言をしていますね。

私は投資を始めてから、初めての大統領選だったため知らないことが多くありました。
今回はニュースから見えてくる選挙の動きと将来をまとめました。

1.「当選確実」の報道が4日後の理由


アメリカ大統領選の投開票日は2020/11/3でした。
しかし翌日になっても選挙結果は出ません。

今回の選挙は投開票日当日に結果が出ることはない
だろうとニュースで言われていました。

さらに、トランプ大統領(共和党)は「3日のうちに結果がでないのはおかしい」と発言し、バイデン氏(民主党)は「全ての票を数えるように」とコメントをしたこともニュースで話題になっています。

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なぜ結果が翌日に出ないのでしょうか。

これは「郵便投票」が大きな理由です。

今年はコロナの影響により、これまでの選挙とは状況が異なっていました。

投票所のスタッフも確保しにくく投票所の数が少なかったようです。そのため感染拡大を防止することも考え、州によっては「期日前投票」「郵便投票」を受け付けました。

郵便投票は、封筒の開封作業や署名・住所の確認にも時間を要します。過去の選挙時より処理する数も多くなるため、時間がかかることが指摘されていました。

当日結果が出せなかったのは、これまでよりも郵便投票が多かったのが理由でした。

では、「郵便投票」の課題をもう少し詳しくお伝えします。


2.郵便投票の課題


郵便投票は当日の投票に比べると、開票に時間を要します。その理由をいくつか挙げます。

①投票日を過ぎても11/3の消印があれば有効
②投開票日前の開票が禁止
③二重投票の恐れ
①投票日を過ぎても11/3の消印があれば有効

州によっては投票日を過ぎても11/3の消印があれば認められます。
投票日以降も一部の結果が送られてくるため、当選確実の結果が出せるまで時間がかかる可能性があります。

②投開票日前の開票が禁止

ウィスコンシン州やペンシルヴァニア州は、郵便投票の開票は当日まで待たなければいけません。そのため今年のように郵便投票が多いと、結果が出るまでに数日かかることになります。

11/7にバイデン氏の当選確実の報道がされたのも、ペンシルヴァニア州の投票結果でバイデン氏の票の獲得が確実と判断されたからでした。
要は開票作業に最低4日間はかかるということですね。

フロリダ州やオハイオ州では投開票日前の開封が認められているそうです。このような州は当日中に結果が出せます。

③二重投票の恐れ

郵便投票をするには、事前に有権者各自が郵便投票をしたいと申請を出す必要があるそうです。
郵便投票を申請していても当日投票をしに行ってしまう人もいます。そのため二重投票にならないように対象者は別途集計をするといった対応もされるそうです。

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このように郵便投票は開票に手間がかかります。

さらに郵便投票の際は、当日投票に行けない理由を提出したり、公証人や複数人の署名が必要だったりと有権者側も大変なようです。
今回は郵便投票が増える見込みだっため、条件を緩和した州も一部あるようです。

《補足》
トランプ大統領(共和党)は郵便投票が不正につながると発言し、郵便投票を避けるよう促していました。
これにより共和党支持者は当日の投票割合が多く、開票作業では郵便投票より先に開票されます。

一方でバイデン氏(民主党)は郵便投票を認めているため、共和党支持者に比べ郵便投票の比率は高くなっています。

投開票日の当日や翌日に、トランプ大統領の方が優勢に見え強気の発言をしていたのはここに理由があります
その後郵便投票の開票が進む州があり、バイデン氏の獲得数が増えたという結果になりました。


3.大統領就任までの動き


アメリカ大統領の就任式は来年2021/1/20です。それまでの動きとポイントを確認しておきましょう。

大統領選挙スケジュール

11/7時点ではバイデン氏は「当選確実」の状況です。
まだ全ての州の投票結果は出ておらず、必要獲得数の270票を超える見込みが確実となったという報道です。

12/8までに全ての州の結果を出し「選挙人」の数を決定させます。

ここで気にしておきたいのが、トランプ大統領の発言と動向ですね。

トランプ大統領は当選確実の報道に対して敗北を認めないことを表明しました。

トランプ陣営は声明を発表し、「この選挙はまだまだ終わっていない」と反発。「月曜日から我々は、選挙の法律が完全に守られ、正当な勝者が確実に当選するよう、法廷で訴えを追求していく」と主張した。(BBC News 2020/11/8)

選挙結果に異議を唱える場合は、連邦最高裁で投票結果を争うことになります。
いずれにしても、12/8までには選挙結果を確定し「選挙人」の数を決定させる必要があります。

その後は選挙人が大統領の投票を行い、来年2021/1/20に大統領の就任式が執り行われます。この日から新しい政権が始まります。


4.最高裁判事就任からみるトランプ大統領の思惑


大統領選挙の最中の9/18に最高裁判事のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が死去したというニュースがありました。

このニュースは、連邦最高裁で投票結果を争うトランプ大統領の動向に大きく関係しています。

最高裁判事は長官を含め、9人で構成されています。
9/18の時点では保守派が5人、リベラル派が4人でした。

保守派・・・トランプ大統領寄り
リベラル派・・・バイデン氏寄り

ギンズバーグ判事の死去により、リベラル派が3人になり、新しく就任したのは保守派のバレット判事でした。

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バレット判事の就任を急いで進めたのが、トランプ大統領です。

トランプ大統領は、大統領選挙の結果を最高裁で争う際に有利に進められるよう保守派でかためておきたかったのです。

現状トランプ大統領は、投票結果に納得していません。
この就任のニュースの時から最高裁の判定にもっていくシナリオを考え、争うやる気が感じられます。

最高裁の議論では、トランプ大統領の訴える郵便投票が不正につながるという認識がどう判断されるかが議論の焦点になると思います。


5.これから考えられる投票方法の変化


このように今回の選挙は開票にかかる時間と不正投票の有無に着目されていると、私は思います。
それでは、これから投票方法がどう変わっていくかを考えます。

開票の手間を解決する方法の一つとしてブロックチェーン技術を使った投票アプリに注目しています。

ブロックチェーン技術の特徴は次のものがあります。

☑ 中央管理者がいなくても複数のネットワーク管理者で共同管理ができる仕組みが作れる
☑ 改ざんや不正が困難である

ブロックチェーンベースの投票アプリにすることで、データの書き換えができないため票の不正がほぼ不可能になります

さらに本人確認もアプリ内で実行でき、仕組みによっては匿名性を保つシステムも可能と考えます。現在の郵便投票に必要な複数人の署名も不要となります。

一番効果が大きいのは、投票結果が迅速・正確に出せるようになることです。
人が開封作業や投票用紙の整理をする必要がなくなります。さらにデータ集計は人がやるよりシステムで行った方が迅速に正確な結果が出せます。

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既に実証実験は行われています。

アメリカのFox News(2020/10/16)で報道されているように、ユタ州の大統領選挙でスマホアプリでの投票が行われました。

ユタ州では2018年や2019年の選挙でも、海外駐留の軍人を対象にスマホアプリでの投票を実施しています。

この当時は、投票集計のシステムにトラブルが発生し集計が遅れるといった指摘もされていました。
さらにアプリを利用する際のパスワードや個人情報流出に対する不安の声もあるようです。

新しい技術を使った仕組みは、どの時代でも賛成と反対があり当然と思います。
今回の大統領選挙でも活用されたことにより、今後は不安や懸念点を解消すべく検証して、実施範囲を広げていく段階まできたと私は思います。


さらに、日本でも2018年に茨城県つくば市で、支援事業のプロジェクトを選ぶ投票をブロックチェーンベースで実施する試みがありました。本人確認はマイナンバーカードで行っています。

その他にもロシアやインドでもブロックチェーン技術を使った投票システムの開発を進める動きが出ています。

アメリカ全土や日本といった国単位で標準的な投票方法にするには、検討が必要とは思いますが、世界的な動きとして着実に現実として近づいている印象です。

このため、4年後の大統領選挙では翌日に結果が出るようになっているかもしれません。

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