第1章 流れ星との旅立ち
~#001~
えるは、今日も一人で星を眺めていました。
「人は天国へ行ったらお星さまになるんだよ」
と言われたことを、本当は信じていなかったのです。
(私は、生きている間に輝く星になりたい)
そうずっと思っていました。
~#002~
「お月さまがほしい」
「お星さまがほしい」
とわがままを言って、
「それは無理だよ」
と言われたあのころ。
(それなら、私が星になればいい)
と静かに誓ったあの想いは、いくつになっても消えませんでした。
~#003~
そんなえるの想いを他の人に話しても、誰も真面目に聞いてはくれませんでした。
「何言ってるの?
お星さまになんて、なれるわけないよ」
って。
えるは昔から、
「人は何にだってなれる」
って思いながら生きていました。
あとは、その方法さえあればよかったのです。
~#004~
私はまだ何者にもなれていない・・。
ただのぽっちゃり女子。
・・でも、この世界はまだまだ、こんなもんじゃない。
もっともっと
やりたいことや実現したいことが、私にはある。
他の人がたくさん面白いことしてるのに、
指をくわえてただ眺めてるだけなんて、もったいなさすぎる!
~#005~
ドキドキしたり、わくわくしたり。
心と体がいてもたってもいられないような、
そんな刺激的な時間をたくさん感じたい。
生きているって、もっと実感したい。
・・輝く星になるために、私には何ができる・・?
えるは、まだ、じっと一人で星を眺めていました。
その時です。
~#006~
流れ星のようなものが、えるの目に映りました。
「珍しい!」
と思い、
(輝く星になれますように)
と願い事を込めてみました。
するとどうでしょう。
流れ星のようなものは、
えるのいる所へと少しずつ、
近づいてくるではありませんか。
~#007~
あっという間にえるの目の前に、
その流れ星のようなものはやってきました。
意外と小さなその流れ星は、
えるの前にまるっとたたずんでいました。
・・
「星になりたいっていうのは、きみだね?」
(あ、しゃべるんだ・・)
と思いましたが、なぜか違和感はありませんでした。
~#008~
「うん。輝く星になりたいって、ずっと思ってるの。」
「わかった。連れて行ってあげるよ。」
「どこへ?」
「輝く星たちの世界へ。ほら…乗りな。」
流れ星は球体でしたが、
えるの身体を固定する引力がありました。
えるの身体を乗せた瞬間、
二人は夜空へと消えていったのです。
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