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【140字小説】砂時計

古い喫茶店で、彼女はそっと砂時計をひっくり返した。

「これが落ちきるまでに、言ってほしい言葉があるの」

彼は迷い、砂粒が音もなく落ちるのを見つめた。

サラサラと落ちる砂粒。

最後の一粒が落ちた瞬間、彼女は微笑み、席を立った。

残ったのは揺れるカップと彼の「好きだった」という呟きだけだった。

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ぽー@ドルオタのぼやき
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