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10秒で読める小説

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100作書けたので、次の目標は150作!ってことでボチボチ書いていきます。
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#奇妙

【10秒で読める小説】懐かしい味

【10秒で読める小説】懐かしい味

僕は日本で人気カレー店を営む、インド人だ。

「ここのカレーは本場の味なのに、なぜか懐かしいんだよな」
客はみな、不思議そうに言う。

「アリガトウ、ゴユックリ」
と笑顔で言い、僕は厨房に戻った。

日本人である僕の妻が、仕込み用の鍋をかき混ぜながら呟く。
「肉じゃがをリメイクしたカレーが、こんなに流行るとはね」

【10秒で読める小説】コインロッカーの中には

【10秒で読める小説】コインロッカーの中には

コインロッカーを開けたら、中に銀色の顔が浮かんでいた。

「待ってたよ」

顔が言った。
急いで扉を閉めようとしたが、体に電気が走った。

気がつくと真っ暗な場所にいた。
手足の感覚はない。
そのまま長い間そこにいた。

ある時、眩い光とともに巨大な顔がのぞきこんだ。僕は言った。

「待ってたよ」

【10秒で読める小説】タコパのお誘い

【10秒で読める小説】タコパのお誘い

「彼ね、美人をみたら反射的に手を出しちゃうの。私が傷つくって考える前に」
香奈は溜息まじりに言った。
「タコみたい」
私は思わず変な感想を言う。
「タコ?」
「腕に脳があって、頭で考えるより先に捕獲するのよ」

翌日、香奈からLINEが来た。
「タコパするから食べにこない?」
「例の彼も一緒に?」
「ふふっ。手を切ったわ」

私は背筋が凍った。
タコってまさか…。