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#pmconf2020 というプロダクトのプロダクトマネジメント(やその他のマネジメント)

こちらは プロダクトマネージャー Advent Calendar 2020 24日目の記事です。メリークリスマス🎄

去る 2020年10月27日に、「プロダクトマネージャーカンファレンス 2020 ~見えない未来をリードするプロダクトマネジメント~」(以下 pmconf)を開催しました🐒

この記事では、カンファレンス運営の裏側として、pmconf というプロダクトをどのようにマネジメントしたか、またその運営組織やプロセスをどのようにマネジメントしていたか、について限られた部分ではありますが、いくつか抜粋してお話ができればと思います。

決してまだまだベストなマネジメントだとは思っていませんが、カンファレンスなどのイベントを開催される方や、プロダクトづくりをされる方のヒントになればと思います。また、記事の最後では、カンファレンス運営の中で作成した一部ドキュメントも公開していますので、私達同様に有志でカンファレンス運営をされる方々の一助になればと思います。

1. 組織マネジメントについて

1-1. Stable なチームを作る👨‍👩‍👧‍👦

プロダクトマネジメントのカンファレンスだからこそ、まずはチームの話です。良いプロダクトを支えるのは良いチームがあるからこそだと考えています。

pmconf 実行委員会の運営メンバーの約半数は、初年度からのメンバーで構成されています。一般的なプロダクトチームでも同様かと思いますが、チームを長期に固定化することで、形式化しづらい暗黙知や共通感覚が養われ、スムーズな意思決定や議論を行うことができます。

一方で組織に新たな観点をいれたり、やれることをスケールするためには、組織の拡大も必要ですので、今年の運営メンバーの残りの半数は今年から新たに参画してもらいました。ですが、みな過去に当日スタッフなどで貢献した経験があるメンバーで、一定の共通感覚がある方々にお声がけすることで、先述のチームの固定化とのバランスを図っています。

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今年は、COVID-19 の影響で、これまでの知見が利用できないシーンが非常に多かったのですが、これまでさまざまな難しい意思決定を重ねてきた各人の価値感や共有認識を利用しながらのスムーズな意思決定と、たくさんの新規メンバーによる大きな仕事が両立できたと感じます。

組織の構成メンバーを大幅に増減させたり、プロジェクト完了ごとに解散することは簡単ですが、強いチームのためには Stable さも大事だと考えています。


1-2. 新たなメンバーのためのオンボーディング🔰

上記のとおり、今年は約半数が新しいメンバーとして参画してもらいました。残りの半数のメンバーが4年分ハイコンテキストなので、これまでの主要な決め事や価値基準などを言語化し、文書にして最初に読んでもらっていました。

・組織の前提
・体制
・働き方
・コミュニケーションデザイン
・意思決定方法
・タスクの管理と実行
・情報の管理

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新たに組織に参画した人は、その組織の土地勘などがないものですので、自分がどう関わっていって良いのか迷うものだと思います。会社などでは当たり前のことかとは思いますが、コストをかけづらいカンファレンス運営組織でも、こういったことを明文化しておくことで早期の立ち上がりに一定の一役を買っていたかと思います。

2. プロダクトマネジメントについて

2-1. カンファレンスコンセプトの設定💎

私達は、カンファレンスを「ひとつのプロダクト」だと思って企画・運営しています。

カンファレンス準備の最初の数カ月は、手を動かしながらも、以下のような点を、議論して決め、情報量が増えたらアップデートを繰り返していました。

・提供価値をひとことであらわすもの
・ターゲットオーディエンス
・コンテンツ設計の指針
・オンライン開催の姿勢

このあたりで決めていたことは、さまざまな場面での意思決定に判断材料になっています。

たとえば、カンファレンス全体としてのターゲットオーディエンスは、現在の日本における PM の広がりのフェーズを勘案し、あえて業種や経験年数、他者との交流意欲の多寡などを絞らず、広く多様な方に多様な方法で楽しんでいただけるように設定を行いました。セッションの全体企画については、このターゲットを勘案しながら、選択肢がなるべく広くなるように設計を行っています。

一方で、「参加者同士の交流」(内部的には waiwai と呼んでいました)というドメインについては、「少しシャイだけど、新しい知り合いを作りたい意思をもつ人」をペルソナとして設定し(実際はもう少し細かく設定しています)、その人がカンファレンスが終わった後にどういった感情になっていてほしいか、を考えながら、 Discord 上のチャンネルやネットワーキングの設計と実装を進めていました。

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ありがたいことに、参加者アンケートで、オンラインに対する体験の良さを多くの方にお褒めいただけたのですが、非常に力を入れていた部分でしたので運営としてもとてもうれしく思っています。


2-2. MVP で検証する👩‍🔬

今回 pmconf をオンラインで開催するという意思決定をするにあたっては、運営メンバーも経験がなく想像しきれないことによる不安が無数にありました。

そこで「PM Meetup」と銘打ち、以下のようなオンラインカンファレンスの主要なソリューションが「本当に価値を生むのか」「自分たちで実現できるのか」を実験する場を設けました。さながら MVP です。

・マルチトラックかつ、複数セッション
・Zoom Webinar でのセッション配信
・数百名規模同時参加
・Discord での参加者交流、懇親会
・オンラインでの Ask the Speaker
・セッションの公募
・登壇者の登壇環境へのサポート

Meetup 参加者のみなさんにも「オンラインでの PM 向けイベントを実験、体験する」目的であると明言し、期待値をマネジメントしながらも、公募から選ばれた素晴らしい登壇者のみなさんによって、価値ある場を提供できました。


参加者アンケートについても、あらかじめ決めておいた「実験項目」のデータが取れるように設計をし、この PM Meetup の結果から、「この方式でやれる」という自信をもち、また懸念点の洗い出しなどが行えていました。

実際にこの経験の効果もあり、カンファレンス当日は大きな想定外の出来事やトラブルなく運営を進めることができました。

3. プロセスマネジメントについて

3-1. ゆるやかな分担と非同期作業💪

pmconf 実行委員会は、多くのプロダクトチームと比較すると「運営メンバー全員が有志のパートタイムである」という特徴があります。

つまり、以下のような状態です。

フルタイムでコミットできる人はいない。むしろ本業で PM や責任ある役職として忙しくしている人が多く、運営に割ける時間はスキマ時間。数日 Slack を見る余裕がないようなこともある。
・作業などに割ける都合の良い時間帯が異なる。各自の都合の良い時間も、平日朝/日中/夜、休日、と本業や家庭の都合によって大きく異なる。

そして、これらを尊重することを大前提にしています。これは、もはや別のタイムゾーンにいる人たちで働いているような感覚で、いかに非同期作業と同期作業を使い分けるかがキモになります。

フルタイム、同一タイムゾーンの Long-Living なプロダクトチームであれば、過度な分担は行わず、群れながらフロー効率を意識した作業の方が効果的な場合もありますが、このチームではゆるやかな分担をしていました。

ある程度の独立裁量を持って進めやすい領域を切り出し、責任範囲を決めることで自分の働き方にあわせて働くことができていました。
ただし属人化の排除や進めやすさを勘案し、担当が1人にはならないよう、2−3人のグループへのアサインにし、その単位で Slack チャンネルを作成し、その中で担当領域の仕事を進めていました。(その領域内で個別に集まってペア・モブ作業をやることもあります)

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「ゆるやかな」分担と言っている部分もポイントの一つで、自分の領域以外には口を出さない、という風にならないような意図があります。

もちろん完璧に漏れなく役割分担を事前に定義することは難しく、進める中で曖昧な領域も生まれますので、そこは全体を見ることを役割にするメンバーが直接対応したり、グループやメンバーにおねがいしたりすることも行っていました。

3-2. コミュニケーションを Open に👐

テキストコミュニケーションには Slack を利用していますが、コミュニケーションはすべて Public チャンネルで行っています。(運営メンバーの個人情報や、法人の一部機密情報を取り扱う場合のみ DM やPrivate チャンネルを利用)

上記の「他の領域にも口を出す」というのも、当然ながら議論がオープンな場で行われていなければ不可能です。

タスクについても、Google スプレッドシートで内容、担当、期限を全員で見える化しながら運用を行っていました(去年は Trello なども使っていましたが、見るツールを減らすために今年は Google スプレッドシートに落ち着きました)。


3-3. 決め方を決めておく🙋‍♀️

意思決定は難しいものです。議論は無限にできてしまいますし、すべてのことに対して全員の意見を集めていると限られた時間が無くなっていきます。また、どうなれば決定なのか?ということは悩ましい問題です。

pmconf では、「運営メンバーのうち 5 名の合意がとれれば進めて OK」というルールを定め、Slack のリアクションを機能で、意見に対する賛否を問い、スレッドで議論を行っていました。リーダーをひとり決め、すべてその人が決めることも可能ではありますが、なるべく多くの人の意見を反映して進めたいと考えています。

ただ、開催の1週間前などの間際については、先述のタイムゾーンの違いもあり、その複数人合意を得るまでに時間がかかってしまう問題が発生し、「これまでの経緯をより把握している初期立ち上げメンバーのいずれかが OK すれば、進めて OK」というルールに変更をしました。ここに関しては、直前作業をバタバタと進めていく中で実質的に合意ルールが遵守できていないことが何度か発生し、そこへ違和感を覚えたメンバーからの Slack ポストが発端となり、「過去決めたポリシーに固執せず、自分たちの今の状況で最適な形はなにか」という非同期の議論を経て、「合意ルール変更への合意」を経て変更へと至りました。

意思決定ルール自体も、状況に応じて見直すことが必要ですね。

3-4. 同期する定例と議事録🤝

タイムゾーンが違っているとは言え、可能な限り対面で同期する時間は必要です。開催の3ヶ月前までは月に2時間、開催の3ヶ月前からは週に1時間、同期のためのオンラインミーティングの時間を早めに確保していました。各領域でのアップデートを共有し、全員で議論や意思決定を行い、また非同期作業へと戻っていきます。

業務・家庭都合などで参加できない人もいるため、 Google Docs でミーティング中にリアルタイムにロギングし、あとから決定事項だけでなく議論内容を追えるようにしていました。その場で話しながら書ききってしまうので、議事録作成にコストをかけている感覚もありません。

議事録は1ミーティングごとにドキュメントを分けるのではなく、1年間ひとつのドキュメントを使い続け、過去の議論への立ちかえりもさくっとできるようにしていました。また、議事録ドキュメントのヘッダ部分には、カンファレンス全体に関わる決定事項や先述したカンファレンスコンセプトを書いておくことで、いつでもそこに立ち返られるようにもしていました。

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4. 最後に

ごく一部ではありますが、 pmconf の運営での組織マネジメント、プロダクトマネジメント、プロセスマネジメントを紹介させていただきました。みなさんにとって何かヒントになることがあれば嬉しく思います😊

2021 年の開催についても、年明けまもなくから議論を開始する予定ですので、みなさま来年のカンファレンスも楽しみにしていただければと思います🎉

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また、 pmconf 2020 のレポート記事も先日公開しましたので、こちらもぜひご覧ください。


5. カンファレンス運営において作成した、一部ドキュメントの提供

カンファレンスの運営において、ご協賛企業や登壇者のみなさまへのご案内やそのための準備などは、非常重要なことである一方で工数がかかるものです。
ここでは、pmconf 2020 で作成した一部ドキュメントを公開しますので、カンファレンスを有志で運営される方の参考にしていただければと思います。
一般配布を前提にしていなかったものをそのままお出ししているため、わかりにくい点はあるかと思いますが、自由にご活用いただければと思います。

※これらの資料は CC0 ライセンスとしますので、ご自由にご利用ください。
※予告なく提供を終了する場合がありますので、あらかじめご承知おきください。
※ドキュメント内容に関する問い合わせにはご回答できませんのでご容赦ください。

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