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木工職人を目指した僕が、修業もせずにいきなり個人事業主として独立した理由(1/2)

※今回の記事は前半・後半に分かれています。
この記事は前半です。

僕は現在、
木工や革なんかを中心に作品を作っていますが、
どこかで丁稚奉公したとか
有名な家具工房で修業したとかいうわけではありません。
木工に関しては、職業訓練校で1年間勉強したのみです。
革に関しては、1年くらい独学で勉強した程度です。
漆に関しては2か月くらい訓練校と講習会で習った程度です。
象嵌に関しては、たったの1日だけ基本的なやり方を教わっただけです。
それからは、自分で調べて試してみるのみ。
トライアンドエラーの繰り返しです。
なので、正直にはっきり言えば、
技術的にはおざなりなんです。

木工や革の業界も、基本的には「どこかで修業」→「独立」という流れが一般的だと思います。

ではなぜ、僕は修業もせずにいきなり独立したかといいますと、

僕がやりたいことをやっている工房はどこにもなかったから

という単純な理由です。

僕は家具だけをつくるだけでなくて、
革の仕事もやりたいし、
象嵌もやりたいし、
漆も扱って金継ぎとかもやりたかったんです。
そして、いずれは彫金とかもやりたいんです。
そういう多角的な技術を集合させたような技術職は
日本のどこにもなさそうだったので、自分で始めようと思ったのです。

※今回の記事は、言葉を選ばず綴っているので、若干イキッた記事になっておりますが、ただの若手底辺作家の独り言なので温かい目で見てください。

自分はなにをつくりたいのか

そもそも、僕は家具をつくる木工職人を目指していました。
そのために家具づくりの職業訓練校に入学しました。
職業訓練校時代に僕は家具製作の基礎的な知識と技術を勉強をしました。
有名な建築家の家具や名作家具の書籍を読みました。

「一体、自分はなにをつくりたいのか?」
ということを、明確にするため、
職業訓練校に入る前から、
いろんな家具工房や個展に足を運び、
いろんな職人さんや作家さんにお話を聞きに行きました。

ここでいう「なにをつくりたいのか」というのは、
「家具」とかざっくりしたものではなく、
「椅子」とかよりもさらに踏み込んだ、
「どういう特徴の椅子か」というかなり具体的な話です。

お話を伺いに訪ねた職人さん、作家さんが
それぞれお話しすることは千差万別でした。
正直に言えば、いろんな人に会っても自分が何を作りたいか
明確な答えは見つかりませんでした
でも、はっきり分かったことは、
家具職人としていきなり独立というのは、かなり厳しいということでした。

それこそ木工界隈で有名な木工家の方からは、
「修業もせずに独立なんて、言語道断!」と
それはもう、しっかりとお叱りを受けました。
結果として、僕はそのお叱りをスルーするわけですが。

そして、家具職人さんや木工家の人にお会いするたびに、
果たして自分はこの人たちより優れた家具を作れるだろうか?
と、かなり疑問に思うようになりました。
そして、この人たちと同じ土俵で勝てる気がしないと思うようにもなりました。

結局、なにをつくるか、明確な答えは見つからなかったけど、
方向性は何となく決まっていきました
「家具職人」や「木工家」として厳しいなら、
木に関わる何か別のジャンルのものにすればいいのではないか?
もしくは、新しいジャンルを自分で作ればいいのではないか?
木×〇〇」もしくは、「何か別の要素をプラスαする」という視点で
いろいろとアイデアを出すよう心がけました。

自分の持っている知識や技術から何とかプラスαできること。
とりあえず、「革と漆(金継ぎ)と象嵌」 かな
とその時できることを挙げてみました。
その中でも、僕が一番良さそうかなと思ったのが、
「木と革」の組み合わせです。
理由は、「こういうものあったらいいなー」
とすぐに思い浮かぶから。

こうして、ようやく気がつきました。
自分がつくりたいもののの形がだんだんと見えてきました。
自分が欲しいもの=自分がつくりたいもの
だったということに。

初めてのレザークラフトであり、
初めて木×革を組み合わせたショルダーバッグ


「なにをつくりたいか」を明確にする理由

多分、職業訓練校に入った同期に比べて、
僕はかなり「なにをつくりたいのか」にこだわっていたと思います。

そもそも僕がちょっとおかしかったんですよ。
理由は明確で、職業訓練校というのは、
これから就職する前に「技術」を学ぶところであって、
「芸術や創作活動」のための学校ではないからです。
だから、本来であれば、美大やら美術専門の学校に行くべきだったのかもしれません。

しかし、なぜ僕が「なにをつくりたいか」にこだわっていたかというと、
家具づくりの技術だけ習得しても、
木工業界で生きていくのは厳しいと感じたからです。

いろんな工房を訪ねましたが、
「独立するなら、なにをつくりたいのかちゃんと考えた方がいいよ」
というアドバイスをある職人さんからいただきました。

このアドバイスを受けてから、僕は「なにをつくりたいのか」にこだわるようになりました。
そうじゃないと独立できないと思いました。

理由は、単純で、
もはや木工業界や家具業界なんて、斜陽産業なんですよ。
合板で店舗什器なんかを作る場合はまだいいですが、
無垢材を使った家具屋さんなんて、もう大変です。
景気のいい話なんて聞いたことがないです。
これから独立してやっていこうなんていうのは、普通に考えてオワコンだと感じました。
ただ普通に家具を作っていただけじゃ、生き残れないと強く感じました。

かなり極端なことを言うと、
作品をみただけで、
「〇〇さんの作品だ!」って、分かるようなレベルのものをつくれないと、
多分厳しいのかなと思いました。
だから、「なにをつくりたいか」にこだわりました。
そうすると、おのずと必要な技術や知識が明確になってきます。

こんな経緯もあり、
僕は、職業訓練校で、過去の卒業生もやったことがないような、
かなり奇抜なデザインや技術に挑戦しました。
先生には無理を言ってやらせてもらいました。
(職業訓練校では、作った作品を全て販売するため、あまり奇抜な色やデザインのものをつくることは嫌がられます。売れ残る可能性が高いので。)
職業訓練校に通いながら、金継ぎの講習会にも週1で1ヶ月ほど通っていた時期もありました。
これも先生に無理を言って通わせてもらいました。
自分の中では、つくりたいもののイメージがあって、いろんな素材と技術がリンクしているんです。
「いつか、こういう作品を作るために、こういう技術が必要になる」
みたいな考え方をしていたので、
訓練校時代にその必要な技術を細切れに勉強したという感じです。

職業訓練校で制作したキャビネット

後半に続く

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