「痛い!」睡眠中や運動時に突然起こるこむら返りの対処法
運動中や寝ている時、前触れもなく急に足がつったりすること、ありませんか?
何をすることもできず、引きつった足を伸ばしながらただ痛みが引いていくのをじっと待つ・・・そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
突然足がつる”こむら返り”は、数秒で収まることもあれば、収まるのまでに数分かかったり、ひどいと翌日まで痛みを引きずることもあります。
今回は、こむら返りの原因と予防法と、起きてしまった時の対処法についてご紹介します。
こむら返りは筋肉の異常収縮?その原因とは
こむら返りの「こむら」とは、ふくらはぎのこと。ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、全身に血を巡らせるポンプのような役割を担っています。
こむら返りとは、ふくらはぎの筋肉が収縮したままの状態になり、激しい痛みを伴う症状で、運動中や睡眠中に起こります。
筋肉の弛緩と収縮をつかさどる運動神経が、脳や脊髄から送られる指令を上手く伝達できず、異常な収縮を起こすことから起こります。
その理由ははっきりと解明されていませんが、いくつかの可能性が考えられます。
ミネラル不足
こむら返りが起こる原因の一つとして、マグネシウムやカリウム、カルシウムなどのミネラル不足が原因と考えられています。
カリウムとカルシウムは、神経の伝達や筋肉の収縮を円滑に行う働きを持っており、この2つのミネラルを調整する役割を持っているのがマグネシウムです。
この3つのミネラルが不足すると、こむら返りが起きやすくなると言われています。
冷えや脱水症状
冷えや脱水症状も、こむら返りの原因と言われています。中でも「冷え」はこむら返りに大きく関係しているようです。
足が冷えるとふくらはぎの血流が滞り、温度が低くなります。それによりふくらはぎの筋肉が緊張状態になり収縮し、必要とされる栄養が届きにくくなるため、急に足を伸ばしたりしたときに足がつってしまうのです。
体質
漢方では、全身の組織や器官に栄養を与えるものを「血(けつ)」と呼びます。こむら返りは、この「血(けつ)」が不足している状態だと起きやすいと言われています。
つまり、全身に栄養が行き届き、老廃物が排出されている状態が健康な状態ですが、栄養が行き届いていない体は健康上のトラブルが起りやすくなります。
普段から顔色が青白い、目が乾きかすみやすい、肌のつやがない、めまいや動悸を起こしやすい人は、栄養が行き届いていない可能性があります。
適度な運動やバランスの良い食生活、質の良い睡眠をとることなどして改善しましょう。
妊娠中や高齢者
妊娠中は、胎児の成長によって栄養バランスやホルモンバランスが崩れやすくなります。そのためこむら返りを起こしやすいと言われています。
また、高齢者は筋肉量が少ないため、筋肉中の水分バランスの乱れや、筋肉を支配する運動神経の興奮が、こむら返りに繋がりやすいと考えられています。
こむら返りを予防するには?
こむら返りを予防するには、まず生活習慣を見直してみましょう。
定期的な水分補給を
運動の後や汗をかいた後には、水やスポーツドリンクを飲んで水分とミネラルを補給しましょう。また睡眠中は汗として体内の水分が失われるため、就寝前にコップ1杯の水を飲むことも有効です。白湯に少しはちみつを入れるのもおすすめです。
乾燥している季節は、いつもより多めの水分摂取を心がけましょう。一度にたくさん飲むよりも、こまめに飲む方が効果的です。
お酒やコーヒー、緑茶などは摂取量に注意しましょう。カフェインは脱水症状の原因にもなります。
ミネラルの摂取は積極的に
体内のミネラルバランスを整えるため、積極的にマグネシウム、カリウム、カルシウムを摂取しましょう。
3つのミネラルは、それぞれ以下の食物に多く含まれています。
マグネシウム…豆腐、切り干し大根、わかめやあおさなどの海藻
カリウム…バナナ、小松菜、干しマンゴーなど
カルシウム…牛乳、チーズ、ヨーグルト、青梗菜(チンゲンサイ)、小松菜など
ストレッチで筋肉をほぐす
ストレッチで筋肉をほぐしましょう。マッサージやストレッチをしておくと、体が温まって巡りが良くなります。
こむら返りが起こってしまったら…痛みを抑える対処法
痛みからの回復を早くするには、収縮した筋肉をゆっくりと伸ばすのが効果的です。
膝を伸ばした状態でつま先を掴み、胸のほうに反らします。足の裏にタオルを引っかけてやさしく引っ張るのでもいいでしょう。
大切なのはゆっくり、やさしく行うこと。無理に引っ張ったり、強く揉むのは禁物です。
少しずつ痛みが和らいできたら、足の指を動かしたり足首を回し、少しでもよいので 歩いてみましょう。ここで動かしておかないと、2~3日痛みが残ってしまうことがあります。
こむら返りに効く漢方薬:芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
漢方薬も、こむら返りの痛みを抑えるのに有効です。
「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」は、運動中や就寝中に足がつる方、たまに運動するとこむら返りや、腰痛を起こす方におすすめの漢方薬です。
甘草(カンゾウ)、 芍薬(シャクヤク)の2つの生薬によって構成され、突然の痛みに良く効くと知られており、頓服薬として広く使われています。
こむら返りを起こさない体づくりを
こむら返りの原因と予防法、そして起きてしまった時の対処法をご紹介しました。
突然起きてしまうこむら返りは、年齢を重ねると起こりやすくなる症状の一つでもあります。
普段から栄養バランスのよい食事に気をつけたり、こまめにストレッチを行うなどをして、こむら返りを起こさない体づくりを目指しましょう。
もし症状が長期化する場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。