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【観劇記録】丸美屋食品ミュージカル「アニー」

2023.04.29 @ 新国立劇場 中劇場 (チーム・バケツ)

 会場入って正面のところに、丸美屋の商品が飾られた棚があった。スポンサーなので当たり前なのだが、改めて「文化にスポンサーは大事だよな」と感じた。シンプルにあの規模で全国を回る、何よりそれを何十年も続けるには、観客人気だけじゃ無理だな、と納得してしまった。

舞台は1933年のニューヨーク。世界大恐慌直後の街は、仕事も住む家もない人であふれていました。誰もが希望を失っているなか、11歳の女の子アニーだけは元気いっぱい。11年前、孤児院の前に置き去りにされたというのに、いつか両親が迎えに来ると信じて、逆境にひるむことなく前向きに生きています。そんなある日、大富豪オリバー・ウォーバックスの秘書グレースに気に入られたアニーは、クリスマスの2週間をウォーバックスのもとで過ごすことに。ウォーバックスは、アニーを養女にしたいと思うようになります。しかしアニーは、本当の両親と暮らすという夢をあきらめきれません。その強い気持ちに打たれたウォーバックスは、懸賞金をかけて彼女の両親を捜すことにします。ところが、それを知った孤児院の院長ハニガンと弟ルースター、その恋人のリリーは、懸賞金目当てに悪だくみを始めて・・・・・。アニーの夢はかなうのでしょうか?

https://www.ntv.co.jp/annie/2023special/highlight/ より引用(2023.05.15取得)

 ミュージカルのいいとこどり、とでも言えばよいのだろうか。ミュージカルを見る時に期待するものが全部盛り込まれていた。
 思いきり歌い上げる曲もしんみりする曲もちょっとコミカルな曲も、ソロも合唱もある(こうやって書くと至極当たり前だ…… 笑)。序盤で歌われた曲がリプライズで出てくるのも、いまミュージカルを見てるぞという気分になれる。そういう意味での満腹感はいっぱいだ。
 個人的には、『N.Y.C.』みたいな、あちこちでいろんな人がいろんなことをしているようなシーン/楽曲が結構好きなので、そこも押さえられていて楽しかった。

 ちょいちょいツッコミどころもあるし、そこ台詞一言だけで進めちゃうの?と思うところも結構あるのだが、主題ではないので野暮なのだろう。とはいえ、ウォーバックスとアニーが仲良くなる過程はもう少し丁寧にやってもいい気がする。
 基本的に明るくて前向きなアニーだからこそ、気丈に振舞うけれど寂しさを隠し切れないシーンにはこちらも胸が痛くなってしまう。ロケットが量産品だったのでこれで両親は特定できない、と告げられるくだりのアニーの演技にはグッときてしまった。

 この作品が子役たちに注目の集まる作品であることは誰しも知るところであるし、私もそのつもりで見に行った。しかし実際に注目が集まるのは犬だということは知らなかった。……え、私が知らなかっただけ?
 サンディが出てくるシーンになるたびに客席がそわそわしていた。私もそわそわしてしまったので人のことは言えない。「犬だ……犬がいる……ちゃんとお話に合わせて動いてる……」と意識が全部そっちに持っていかれてしまうのが可笑しかった(それはそれとしてタレント犬はすごい)。

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