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サブスク配信しないロックバンドの理由から思ったこと

皆さんの推しバンドは、音楽サブスクリプションサービス(以下サブスク)で聞けますか。
ブリの推しバンドたちは、ほぼ全てサブスクで聞けます。今日のサブスク時代で、サブスクで音楽を聞き、多くのリスナーに共有されています。アナログレコード、カセットテープ、CDを所有する習慣は減りつつあります。世界は、インターネットを通して、音楽へつなぐ環境になりました。

実は、ブリの知るバンドのなかには、サブスク配信では聞けず、CDを手にしないと聞けないバンドがいます。しかも、そのCDは、中古市場では入手困難だったり、高価格だったり、販売場所が限られたり、ハードルが高いです。または、ほとんどの作品が配信されても、一部の作品は事情があって、全て配信できない状況のバンドがいます。
サブスク配信時代が盛り上がるなか、かつて売られた多くのCDは、ゴミになったり、中古店にとって、売れなくて負担になり、CDの買取をやめた店があります。レンタルCD店は、需要の減少で売上が悪くなり、閉店しました。世界の国々は、もはやCDを売らなくなりました。この日本だけが、世界で最も多くCDを売って、稼いでいる国です。

この記事では、一部のバンドがサブスクを解禁しない理由を考え、その姿勢に対するブリの考えをまとめました。誤解されないように書きますが、「サブスクを配信しない姿勢は悪い」と、決めつける内容ではありません。



◆デジタル媒体で表現できないことにこだわる

ブリの知るバンドは、インディーズとして長く活動しています。CDのみで、サブスクにはほとんど配信していません。レンタルCD店には一切解禁せず、正規の方法でCDを直接買わせるようにしている姿勢です。サブスクについて、なぜ配信しないのかと、メンバーがインタビューで答えました。

「サブスクだと軽い気持ちで曲を聞かれるのが嫌だ。CDを買って、歌詞カードをじっくり読んでもらいたいから」

インタビューでのバンドメンバー

そのバンドは、歌詞カードにおもしろいメッセージを書いているので、サブスク配信だとそれが表現できないので、CDを買って、楽しむようにすすめているのでした。デジタル媒体だと、歌詞は統一された書体で表示されて、アーティストが表現したいメッセージが足りないと、彼らは思っているのです。当然、アーティストの写真やイラストは音楽ジャケットのみになり、いろんな写真を付けられないのです。そして、楽曲に関わったエンジニアや編曲家の方々の名を表示できないのです。歌詞カードの最後のページにある、スタッフの方々は、アーティストの作品を作り出した大切な人材なのです。感謝の想いをこめて、記しているのです。
サブスク配信で困るのは、楽曲単体で聞かれることで、アルバム作品の構成がばらけてしまって、アルバム全体の世界観が伝えられなくなる問題があるのです。表現したいものが崩れることを嫌がるアーティストは、従来の音楽媒体で発売していきたいのです。

CDとして売る方法が悪いわけではありません。アーティストの表現方法が、今日のデジタル媒体と求めたいことが一致しない気持ちが分かります。ただ、サブスク配信をよく使うリスナーは、CDをわざわざ買うのでしょうか。良い音楽なのに、サブスク配信になくて、SNSで共有するのが難しい。サブスクを使うリスナーにとって、不便な売り方です。
きっと買ったとしても、すぐに手放すかもしれません。財布にある1000円をCDに使うなら、ライブコンサートのグッズが欲しいです。ブリは良い音楽なら買いたいですが、場所を取る問題に悩みます。結局、いつかは手放してしまうのです。そして、中古市場に売られてしまうのです。これではCDを売った第三者が儲かり、アーティストの収益になりません。
正直考えると、CDを買う習慣がないリスナーには、サブスク配信という選択肢を設けるべきです。サブスク配信をバンドを知る入口にして、もっとバンドの世界観へ深く知りたいなら、CDやイラストを購入させる、そういうアピールにしたほうがいいと思います。一方、サブスク配信サービスを使わないリスナーには、CDを買う選択肢を残したほうが良いです。


◆版権の事情で縛られて放置状態

アーティストの意図に関係なく、楽曲をサブスク解禁できない状況があります。レコード会社や事務所の版権管理によって、楽曲をサブスクに配信できず、CDに取り残されているままでいる、バンドたちがいます。楽曲の権利は、アーティスト側にはありません。デジタル配信する権利も、CDとして販売する権利も、レコード会社と事務所が決めることなのです。
サブスク配信されないバンドは、すでにバンドが解散してしまった場合であることが多いです。メンバーそれぞれに楽曲権利が散らばっていたり、メンバー本人に楽曲権利がなく、にっちもさっちもいかなくて、配信されない状況になっています。なかには、熱心なファンのために、サブスク配信をせず、CD販売にこだわるバンドもいます。
なかには、全ての楽曲ではなく、有名な楽曲のみ配信しているアーティストがいます。「全ての楽曲を聞きたかったらCDを買ってください」と、お試し配信として、一部の楽曲解禁でとどまっているアーティストがいます。

旧態依然としたレコード会社の姿勢に、ブリはあきれました。これだけ世界に広まっているサブスク配信に、なぜに消極的なのか、首をかしげます。そして、バンド、レコード会社の姿勢に対する、憤りがあります。過去を知らないブリにとって、過去の作品を手軽に聞ける手段が欲しいです。いつまで古い媒体にこだわるのか、どこまでブリの本棚を重くしてくるか、困ったものです。
他に、一部の邦楽ロックの古参ファンは、「後出しのコレクター商法にあきれた」と思っているのです。例えば、解散したバンドの作品に、音源を向上し、ボーナス楽曲を追加、当時の初盤になかった写真も入れ、「永久保存盤」として、大人になったファンに売る。こういうコレクター商法に疲れた古参ファンがいるのです。古参ファンも、簡単に財布を開けたくなく、持つことが負担だと思っているのです。音楽を持つことから解放されたいファンは少なくありません。

サブスク配信されていないバンドのなかには、邦楽ロックの歴史で重要な存在がいます。そのなかに、ブリの推しバンドが尊敬する、素晴らしいバンドたちがいます。彼らをこのままCDのなかに閉じこめてしまっていいのでしょうか。好奇心あふれる邦楽ロックファンが、彼らのCDを手にしてくれたらうれしいです。しかし、知る機会は運です。果たして彼らは、古い媒体に埋もれてしまうのでしょうか。邦楽ロック史の貴重な知的財産を、ニッチなファンの間だけのものだけにしたくありません。


◆第三者が音楽で儲かってほしくない

サブスクで楽曲を一切配信したくない姿勢のアーティストがいます。表現方法の不一致でも、版権の事情でもなく、サブスク配信の収入構造と、もの作りの扱いに対する不満があって、アーティストがサブスク配信を行わないことがあります。
とある名の知れたアーティストがいて、自分が作った楽曲はサブスク配信を一生行わない姿勢を主張しました。その理由をインタビューで答えました。

「表現に携わっていない人間が自由に曲をばらまいて、その儲けを取ってる。それはマーケットとしての勝利で、音楽的な勝利と関係ない。本来、音楽はそういうことを考えないで作らなきゃいけないのに」

とある名の知れたアーティストのインタビュー

サブスク配信で、楽曲が多くの人々に知れ渡る機会になります。しかし、再生数で得られる収入は、1回の再生で、1円未満なのです。多く楽曲が再生されるために、アーティストたちは必死に制作して、配信します。リスナーが拡散するように宣伝します。必死に活動しても、日にあたるアーティストたちは、ごくわずかです。一度ヒットを作った旬のアーティストたちがずっと聞かれて、いつまでも次のアーティストたちに出番が回ってこないのです。

確かに収入構造への不満と、もの作りへのこだわりは理解できます。サブスク配信を意識して、テンポの良い楽曲構成を考えるアーティストが増えました。音楽の価値が無料になって、無料で聞けると思いこんでいるリスナーがいます。音楽は、市場で効率化を求めるものではないと、疑問を抱える邦楽ファンとアーティストがいます。
これらの意見は多くの考えがあるために、正解はありません。ブリはこの考えを持つアーティストたちに対して、否定はしません。ただ、邦楽ファンのブリたちから見て、一体いつまで正解のない意見を繰り返しているのか、議論についていけません。ブリが生まれる前から50年以上も繰り返されている、音楽をめぐる権利と収入構造への不満に、革新的な解決方法が生まれてこないのが、困ったものです。誰かアーティストが、この問題点について、今までにない方法を提案して、公平な収入構造を実現して、突っこんでほしいと思います。


◆技術進歩にどこまで逆らうのか

今日の音楽の聞き方は、サブスク配信で変わりました。進歩の一方で、人間の考えの不一致があって、従来の音楽媒体にこだわるアーティストたちがいます。CDを売り続けることは悪くありません。しかし、CDを取り巻く再生環境はじょじょに縮小しています。アナログレコードなら、レトロ好きの再ブームで、買ってくれる方々がいると思います。ただ、アナログレコードも、CDも、再生機器がないと、買ってくれません。少年少女の邦楽ロックファンは、経済的余裕がなくて、購入にハードルが高いでしょう。物理的空間を圧迫する音楽媒体より、インターネットを通して、スマートフォンで、安く手軽に聞けるサブスク配信に利点があります。多数が求めている方法か、一部のファンのみに従来の方法で音楽を届けていくか、多くの答えが絶えず、発信されています。

1980年代後半、アナログレコードからCDに変わる時は、利点が多かったです。収録時間が増え、レコードより形が小さくなって、音質が良くて、製造コストが安くなったCDがうまく迎えられました。2020年代の今日は、CDは売れなくなり、一部の音楽マニアが集めるものになりました。CDを持つよりデジタル媒体にしたほうが楽だと、思う邦楽ファンが増えました。

最後に言いたいことは、合法で、手軽に聞けて、誰かに共有できる環境が欲しいです。一番に願っていることはこれです。新旧の邦楽が、もっとたくさんの人々に知られてほしいです。
皆さんの推しアーティストのなかには、サブスク配信がない状況のままでいませんか。推しアーティストの音楽をこの先、どんな環境で再生できるようにしてほしいと思いますか。ブリは、世界中に言語を超えて、多くの優れた邦楽ロックが知られてほしいです。音楽媒体の制限で、リスナーの好奇心に壁を作ってはいけません。

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