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【UMass×PLMキャリア共同企画】海外スポーツビジネスパーソン特別インタビュー Vol.6

こんにちは。PLMキャリアです。
海外のスポーツビジネスパーソンへのインタビュー企画をお届けいたします。PLMでは、マサチューセッツ州立大学(UMass)アマースト校 アイゼンバーグ マネジメントスクール内 マーク H.マコーマック スポーツマネジメント学科とパートナーシップを結んでおり、本企画は海外でご活躍中の同校出身のスポーツビジネスパーソンへインタビューを行うというものです。

▼The University of Massachusetts Amherst, Mark H. McCormack Department of Sport Management


今回、スポーツビジネスパーソンとして取材させていただいたのはDanielle Byrdさん。MarketCastというファンダム、市場調査、データ分析を専門とするアメリカの企業でスポーツに関わる仕事をされています。Danielle Byrdさんのスポーツビジネスのキャリアについて詳しくお伺いしました。ぜひインタビューをお楽しみください!

UMass卒業生インタビュー

―自己紹介をお願いします。

市場調査会社MarketCastのブランド&パートナーシップ担当SVP(シニア・ヴァイス・プレジデント)を務めています。仕事以外の時間は、夫とロサンゼルスのビーチでのんびりしたり、訪れたい国のリストに新しい国を追加しようとしたりしています。これまでに53カ国を訪れましたが、年内にあと3カ国を追加しようと思っています。

 ―今の仕事について教えてください。

MarketCastは、360度のファン体験に対応したリサーチと分析を提供することを特に重視しています。私の仕事は、MarketCastのブランド&パートナーシップ担当SVPとして、スポーツスポンサーやライフスタイルブランドなどのクライアントとの関係を維持し、成長させることです。私たちは、「ファン」を「ブランドの消費者である全ての人」と定義し、全てのブランドは消費者にファンになってもらいたいと考えています。製品のイノベーション、ポジショニング、広告、ブランドの健全性、そして、最終的には、スポーツのスポンサーシップを利用して、ブランド愛と関連性を促進するためのリサーチにおいて、クライアントは私たちのサポートを必要としています。

―どうやって現職に辿り着きましたか?

私のスポーツに関わるキャリアは、大学のアスレチックデパートメント(日本の大学における体育会本部)から始まりました。Pepperdine Universityでマーケティングやイベントマネージャーとして働きました。年間116のイベントをマネジメントし、学生や卒業生、ファンとの関わり方など、あらゆる面から計画、実行しました。その後、Pepperdine UniversityからUMass Amherstへ進学し、スポーツマネジメントの修士号とMBAの2つの学位を取得しました。UMass在学中は、米国オリンピック委員会のアクティベーション・インターンとして、リオ・オリンピックに関する米国の観客の関心と興奮を高めるプロジェクトに従事しました。

卒業後、米国の大手スポーツマーケティング会社Octagonに就職。この企業での最初の仕事は、金融サービスのアカウントチームで、バンク オブ アメリカ シカゴ マラソン(the Bank of America Chicago Marathon)をはじめとする、全ての地域キャンペーンをサポートすることでした。この職務の間、新規顧客のリサーチや提案のサポートなどの新規事業開発に携わり、新規事業の世界が好きになりました。最終的には、新規事業サポートチームのフルタイムの役割に移りました。 

約1年ほどこの仕事を続けていた時、スポーツ協賛の分野で将来性を高めようとしていたスポーツ調査会社のTurnkey Intelligenceのスポーツ協賛企業へのアプローチと販売を支援するチームから打診を受け、参画することにしました。私がチームに入ってから3ヵ月後、MarketCast社が同社を買収したという経緯になります。コロナ禍以降、スポンサーシップのクライアントだけをサポートしていた私の役割もライフスタイル・ブランド全般を扱うまでに広がっています。

―ここまでのキャリアパスで何かユニークなエピソードはありますか?

私はこれまでのキャリアを通じて、自分にとって興味深い機会には幅広く「イエス」と言うようにしてきました。そのおかげで、いくつかの素晴らしいイベントに参画することができました。どれも積極的に「イエス」と言わなければその機会には出会えなかったと思っています。
以下に、私が経験した印象深いイベントをいくつかご紹介します。
 
・バンク オブ アメリカ シカゴ マラソン(※1)のゴール地点での仕事です。もしあなたが観客としてマラソンにを観に行ったことがなければ、ぜひ候補に加えてみてください。エリートランナーが走る姿を見るという経験は私のキャリアの中でもハイライトの一つです。

・ウォルマートNWアーカンソーLPGAチャンピオンシップ(※2)の仕事で、アーカンソーで7日間を過ごしました。世界最高のゴルファーたちと交流しながら、様々なブランドがどのように製品に命を吹き込んでいるのかを見ることができました。

・ニューオーリンズでのシュガーボウル(※3)やフェニックスでのNCAA トーナメント(※4)の仕事で、Allstate 社(アメリカの大手保険会社)の優秀選手賞受賞者たちの対応をしました。

・NCAAトーナメント ウェスト・リージョナルのトーナメント・マネージャーのアシスタント、及びバンドとチアのリエゾンとして働いた仕事です。チームがベスト8(エリートエイト)に勝利し、準決勝進出(ファイナルフォー)を決めて歓喜している光景は、スポーツファンであれば必ず感動する瞬間だと思います。

・ナッシュビルで開催されたCMAフェスティバル(※5)の現地調査の仕事では、数日間カントリーミュージック界の大物スターに会うことができ、感激しました。

(※1)イリノイ州のシカゴで毎年10月に行われる世界最大規模のマラソン大会。世界最高峰のマラソンシリーズである「ワールドマラソンメジャーズ」の大会の一つであり、世界中のトップランナーが参加する。
 (※2)米国女子プロツアー(LPGA)の大会の一つで、毎年9月にアーカンソー州で開催されている。
(※3)毎年年始(通常は1月1日開催)に、ルイジアナ州のニューオーリンズで開催される大学アメリカンフットボールの試合。シーズン中に好成績を収めているチームが選ばれ、カレッジフットボールの中でも伝統的なボウルゲームの一つとして知られる。
(※4)全米大学体育協会(NCAA)が主催するバスケットボールの全米大会。毎年3月に開催され、多くのドラマが生まれることからMarch Madness(3月の狂乱)と称される。各地区を勝ち抜いた大学が最後に闘う準決勝以降はファイナルフォーと呼ばれ、全米で多くの注目を集める巨大イベントとなっている。日本で例えるなら夏の甲子園に近しい。
(※5)テネシー州ナッシュビルで毎年6月に行われているカントリーミュージックの祭典。ナッシュビルはカントリーミュージックの聖地として知られており、毎年多くの著名なアーティストが出演し、全米からファンが来場する。

―なぜスポーツの仕事をしたいと思ったのですか?

私は幼少期からスポーツに熱中していました。父と私は、NFLチームのニューイングランド・ペイトリオッツの大ファンで、毎年一緒に試合を観に行くようにしています。しかし、Pepperdine Universityで初めてスポーツの仕事に就いたのは、単にスポーツに携わるという事ではなく、有意義で持続的な変化を組織にもたらす手助けができることに惹かれたからです。私がスポーツの仕事を選び、そして続けているのは、スポーツに対する考え方を進化させる必要があると思っているからです。確かに、今でも熱狂的なスポーツファンはいますが、その数は日々減少しています。「縁の下の力持ち」的な人たちをどう取り込むか、ということも考えなければなりません。

私の最初の仕事はここに焦点を当てたものでした。Pepperdine Universityはファンダムの問題を抱えていました。90年代にはチケットが完売していたにも関わらず、現在では学生を試合に参加させるのに苦労しているのです。私の仕事は組織を見て、どうすれば全てのスポーツで学生の観客動員を促進できるかを考えることでした。スポーツファンであるという観点ではなく、カジュアルなファンや好奇心旺盛なファンが、なぜ試合を見に行きたいと思うのかを理解し、それを活用して観客動員を増やすにはどうしたらよいかを考えなくてはなりませんでした。

―スポーツの仕事の魅力と難しさは何だと思いますか?

人が魅力的です。毎日、素晴らしい人たちと一緒に仕事が出来ることが、このスポーツの仕事の魅力だと考えます。一方で難しさは、スポーツは時に、伝統にとらわれすぎることがあります。伝統は大切ですが、将来にわたって持続可能な産業であるためには、進化していかなければなりません。

―スポーツ業界を目指す人へメッセージをお願いします!

スポーツ産業はビジネスです。私が面接を行う時、彼らがスポーツ業界のビジネスをどのように見ているか、どのように業界を改革することができるか、さらに、50年後もビジネスが成長しているためにどんな変化が必要だと考えているのか、ということを理解しようと努めています。

インタビュー:中村武彦
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いかがでしたでしょうか?Danielle Byrdさんの仕事は、スポーツチームやリーグ組織の中で働くスタッフという立場ではなく、市場調査を専門とする企業でチームやリーグ等のビジネスを支える職種です。スポーツビジネスを進化させ、より発展させるには、とても必要とされる領域です。日本でも、必ずしもチームやリーグに所属するだけがスポーツビジネスの仕事ではなく、今回のような立場でマーケティングや分析の専門性をもって、スポーツビジネスをサポートする企業・職種も多数あります。今回の記事を通して、スポーツビジネスの幅広さや、キャリアとしてスポーツに関わる選択肢を考えるきっかけにしていただければと思います。

PLMキャリアのHPでは、インタビューの英語版も掲載しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

▼INTERVIEW Vol.6


PLMキャリアでは、今後もスポーツビジネスパーソンへ取材をして参りますのでお楽しみに!

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