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球団の営業ってどんな仕事?

こんにちは。PLMキャリアの藤井です。
下半期の秋入社に向けて夏場の転職市場が活発になってきており、PLMキャリアへのご相談も増えてきました。

今回は、球団職員の仕事をご紹介します。転職希望の方にも大変人気のポジションである「営業」について取り上げます。スポーツ以外の業界でも営業職を経験されている方が多く、その経験をもって、職種の軸で転職しやすいからです。しかし、球団の営業って何を営業するのでしょうか?転職希望の方と面談をしていても、仕事内容のイメージが出来ていない方も中にはいらっしゃいます。確かに、外からだと具体的な業務はわかりにくいかもしれません。そこで本記事では、球団の営業職について詳しく解説していきたいと思います!

球団の4大収入源のひとつ、スポンサーシップ収入

営業職の具体的な業務の説明に入る前に、球団ビジネスの中で営業がどういう位置付けなのか、ビジネスの全体像からお話します。
プロスポーツチームの収入源は、下記の4つがメインとなります。

【スポーツの4大収入源】
①    チケット収入
②    放映権収入
③    スポンサーシップ収入
④    マーチャンダイジング収入

営業の売上となるスポンサーシップ収入は、球団の4大収入源のひとつであり、球団ビジネスの中でとても重要な位置付けです。各企業との契約は数十万円~数千万円と、締結する企業や契約内容によって規模も様々ですが、ひとつひとつの契約が、球団のビジネスを支えています。

球団で「営業」するものとは?

営業職とは、顧客に自社のサービスや商品の購入を促して契約を取り付ける仕事です。スポーツ用品メーカーでは自社のバットやグラブなど、食品メーカーでは自社の食品を、販売店等で取り扱ってもらえるよう営業するという仕事はイメージがつきますね。ではプロ野球球団で「営業」するものは何かというと、実は文字通り「プロ野球」そのものということになります。
具体的には、例えば以下のような商材を企業向けに販売しています。

・場内看板、グラウンド、ユニフォームなどへの企業名掲出
・ゲームスポンサー(冠試合)
・シーズンシート

ただし、上記の商材を単に販売するだけではありません。企業は球団と上記の商材を契約するスポンサーフィーの対価として、下記に挙げられることを目的として契約を締結します。

【スポンサー企業が求めるもの】
①    企業あるいは商品、または両方の認知度向上
②    ブランドイメージの伝達・構築
③    特定分野におけるその企業の存在感の提示
④    地域貢献活動への参画
⑤    購買責任者たちからの好印象
⑥    メディアバリューの創出
⑦    売上増
⑧    独占契約による競合他社との差別化
⑨    ホスピタリティーや接待、または社内向けの特別な機会の創出
⑩    ネーミングライツや特定の珍しい権利の確保 

中村武彦(2021)『マンガでよくわかる!スポーツビジネス入門』東洋館出版社 

営業担当は、このような企業が求める様々な目的をヒアリングし、スポンサーフィーの対価として球団がどのように企業の役に立てるのかを検討し、販売する商材を提案します。つまり、「プロ野球」そのものをどう活用するかという営業になります。かつては、球場に企業名の看板を掲出するだけでテレビ放送などの露出となり、広告宣伝として価値を感じていただけることもありましたが、近年では企業の経営状況やビジネスの種類も様々であり、よりスポンサー企業にとってメリットを感じていただく取り組みが求められています。各球団のHPにはスポンサー企業の一覧も掲載されていますので、チェックしてみてください。

「スポンサーアクティベーション」とは?

企業が求めるもの(目的や課題解決)を遂行するためにチームが企業に付与する「権利」(アセットとも呼ばれるチームの資産)がまずあり、その「権利」を行使した活動のことを「アクティベーション」(英語で活性化)といいます。

中村武彦(2021)『マンガでよくわかる!スポーツビジネス入門』東洋館出版社

球場前で企業がブースを出展しているのを見たことはありませんか?球場の入場時に商品サンプルやチラシを受け取ったことはありませんか?企業の代表が始球式を行っているのを見たことはありませんか?これもスポンサー企業のアクティベーションのひとつです。各試合の各現場で様々な取り組みが行われていますが、ここでは具体例として、オリックス・バファローズの取り組み事例を2つご紹介します。

【事例①】観戦チケット付きグラブ「オリ達の夢を叶えるグラブpresented by ATOMS」販売

オリックス・バファローズでは、ATOMS製オリジナルオーダーグラブと観戦チケットがセットになった「オリ達の夢を叶えるグラブpresented by ATOMS」を下記のとおり、昨年に引き続き販売することとなりましたので、お知らせいたします。

2022/03/14(月) オリックス・バファローズ球団HP

グラブメーカーも自社製品の魅力をお客様に伝え、そして販売に繋げることが出来、お客様であるプロ野球ファンはグラブを購入することができるという、プロ野球のコンテンツと企業を上手く活用した事例です。 こちらは昨年好評ですぐに完売し、今年も継続実施が決まった企画のようです。

【事例②】SmartNewsアプリダウンロードキャンペーン実施決定!7/8、9の試合で必ずもらえる特別プレゼント企画を開催!

オリックス・バファローズでは、7月8日(金) 京セラドーム大阪、7月9日(土) ほっともっとフィールド神戸にて行われる試合で、スマートニュース株式会社(東京都渋谷区、代表取締役:鈴木健)による特別プレゼント企画を開催することとなりましたので、お知らせいたします。

2022/07/06(水) オリックス・バファローズ球団HP

こちらは球場で「SmartNews」のアプリのダウンロード促進を行う施策です。多くの集客が見込める球場現場で、球団コンテンツを活用して、ファンの方にアプリをダウンロードしていただくことを目的としています。

アクティベーションと言われる球団と企業の取り組みのイメージがつきましたでしょうか?他にどのようなアクティベーションがあるかは、各球団のHPのニュース内「スポンサー」のページに多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。そして、実際に球場に足を運んで球場現場での取り組みも見てください。スポンサービジネス目線で球場に行き、看板やチラシ、イベント、お客様の反応などを見ていると、試合を見ている暇もないくらいに見どころたくさんです!笑 もちろん、プロ野球だけに限らず、JリーグクラブやBリーグクラブなどの現場も視察すると大変勉強になります。

球団の営業職のやりがいと大変なこと

球団の営業担当としてのやりがいは、プロ野球という唯一無二の資産(アセット)を使って、世の中の様々な企業との新しい取り組みを生み出せること、今までになかったものを創り出せることだと球団の方が話してくれたことがあります。球団と企業との掛け合わせの可能性は無限大です。そのため発想力や一定の創造性も必要とされ、決して簡単な仕事ではありませんが、お客様それぞれに対するプロ野球ビジネスの魅力を追求し、考え抜く過程そのものが大きなやりがいになるでしょう。

一方で大変なことは、球団の四大収入源の一角を担い、自走して案件を進めなければならない責任そのもだと言えます。一般的に知名度の高いプロ野球球団だからといって、簡単に営業先がアポイントを受諾してくれるとも限りません。地域の中小企業などであれば、決裁者である企業の代表に直接営業を行うこともあります。営業担当者はただプロ野球の楽しさや魅力を伝えるのではなく、ビジネスとしてプロ野球のコンテンツを売り込む必要があります。また、無事に成約すればそれで仕事が終わりというわけではなく、先述した企業とのアクティベーションの稼働に向けて案件を進めます。これには数か月かけて話し合うこともあり、計画したアクティベーションを完遂して初めて、営業担当としての仕事を終えることとなります。企業の満足度が高ければ、翌シーズンの契約など、次の成約にも繋がるでしょう。

どうしてもスポーツビジネスである以上、チーム成績も営業活動に影響することもあります。しかし、それは営業担当がコントロールできる範囲ではありませんので、どのような状況でもチームを応援してくださる企業とビジネスが出来るよう努めることが大事です。

球団の営業職で求められる経験やスキル

球団の営業職のイメージが出来てきたところで、話を転職へ戻しましょう。球団職員の中でも営業は、実際にスポーツ業界以外からの転職組も多く、言い換えると、転職が狙いやすいポジションです。転職組の前職は銀行・証券などの金融、広告、ゲームなど業界も様々です。ただし、営業先が法人で、扱う商材が無形であることから「法人営業×無形商材」の経験が求められています。将来的に球団の営業職を目指していて、今この経験がない場合は、「法人営業×無形商材」の経験を積んでからの方が、より球団営業職に近づける可能性があります。実際の求人票にも必須条件として記載されています。 

▼球団の求人票記載例

【必須条件】
・法人営業の経験または職務経験(2年以上)
・明るく元気にお客さまとコミュニケーションを取りながら、信頼関係を築いていける方
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【必須条件】
・クライアント目線で企画を立案・検討ができ、提案型営業の経験が3〜5年程度あること
・深く考察し実現に向けたソリューションを組み立てられること
・クライアントや社内部署と調整できる高いコミュニケーション力

元証券会社のAさんは、金融業界での経験を活かし、新聞でも欠かさず広く企業情報を収集し、営業先の企業の経営状況も事前に把握し、経営の観点から企業の課題解決に繋がる球団のコンテンツを活用した営業活動をしているそうです。元広告業界のBさんは、前職で担当の飲食店向けに単に広告枠を売るだけの営業ではなく、クライアントの課題をヒアリングし、集客やメニュー開発のコンサルティングも行っていました。そのコンサルティング営業の経験が今の球団の営業にとても活きているといいます。

また、プロ野球は興行であり、エンターテイメントの要素があります。先述したアクティベーションの考案には、「企画営業」の要素も必要ですので、どんどんアイデアを形にしていく柔軟な発想力も求められます。逆に言えばこのような経験をお持ちの方は、その点を面接でしっかりアピールすることで、入社後に活躍するイメージを面接官に持ってもらいやすくなると思います。

以上、今回は転職のポジションとしても人気の高いプロ野球球団の「営業」について取り上げました。職種を理解することで、何が必要か、何をすべきか、自分の経験のどんなことが活かせそうかなど、少しイメージ出来ましたでしょうか?

プロ野球の球団だからといって、特別な仕事ではありません。皆さん次第で新しいプロ野球の企画が生み出せるので、営業職としてのご経験をプロ野球界でどんどん活かしてください!
 

▼営業職の求人はこちら
非公開求人もございますので、詳しくはキャリアアドバイザーにお尋ねください。

▼参考図書
PLMキャリアのスペシャルキャリアアドバイザーも務める中村武彦さんの著書です。スポーツビジネスの基本的知識をとてもわかりやすく解説された書籍ですので、面接対策も含めご興味のある方は手に取ってみてださい。


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