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「身体でオファーする」即興演劇研究会レポート

即興演劇研究会とは、元々僕のオンラインWSから派生したグループで、毎週月曜の朝に即興演劇の探求と実践をしているチームだ。
先月、緊急事態宣言が解除されたことをきっかけに、念願の初オフライン稽古を行った。

オフラインになって最初に扱いたかったのは、身体。オンラインではバーチャル背景一発でオファー(アイデアを提供する)出来ていたものが、オフラインだと身体を使って伝えなければいけない。言葉を使えばそれは楽なんだけど、それだと説明になってしまう(「いやー良いカフェ見つけてきたねー」みたいな)。僕らは物語を説明するのではなく、共有したいのだ。

最初に最近流行りの「ウォームアップ」。自分の身体だけでなく、空間を温める。そのためには外と関わる、一人にならない。物や人に触れたり、ボールを投げ合ったりして、身体を使ったコミュニケーションを楽しむ。

そして身体のオファーゲーム。一人が具体的なポーズを取り、他の一人が違うポーズで入り、一つの絵を作る。作れたら最初にいた人が「サンキュー」と言って抜け、二人目の人のポーズから新たに始める。慣れてきたら、そこにセリフをつける。一人目のポーズに、二人目がポーズで入り、セリフを一つずつ。
形はもちろん、表情や目線も大きな情報となる。二人目で入る人もどう入れば相手のためになるかを考える。スポンテイニアス(ひらめきに任せる)な入り方が出来るような人たちだからこそ、選択をする余裕がある。そして僕らはより強い物語を目指す。

休憩後は先程のゲームの応用。一人が舞台で言葉を使わずにアクティビティをする。誰?どこ?何?を自分の中で決めた状態で。それを見て、どう見えたかをフィードバック。
些細な情報が重大な意味を持ち、意図していたことは伝わらなかったりする。リアルを演じることとリアリティを作ることは違う。何がどういうものを伝え、何がノイズになってしまうのか。自分の身体が何を発しているのかを正しく把握する。
意図したものがちゃんと伝わらなくてもいい。ちゃんと伝わっていないことに気付けば自分の中で修正をかける。カフェをやろうとしてるのに、お客さんに部屋の中だと思わせている、そしてそれに気がついたら、そういう設定にすればいい。

その後、パートナーが入ってきて、台詞一つずつを言い合う。
どう入ってきたか、どう反応したかが一つ一つ意味を持つ。2人になると、一気にやることが増える。
そして何を言うのか。ただの質問をするのか、関係性を明らかにするのか、感じたことを言うのか、疑問を解消するのか。一つ一つ足していくこと。既に語っていることを繰り返さない。
大切なのは、お互いにインスパイアを与え合うこと。ただ即興するだけなら誰にでも出来る。何が物語を前に進ませ、何が停滞させるのか。やることで知る必要がある。
ちなみに僕らは日常で、物語を前に進ませないように生きている。変化しないように、危険がないように、未知にいかないように生きている。だから普段通りの感覚で即興するとつまらなくなる。ほとんどの場合、それを解消するために面白おかしいことをしようとするが、物語は前に進まない。ただただくだらない笑いが増えるだけ。

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