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思考するよりも試行する

「ノットアドバンス」というコメディの手法がある。
達成したいことを達成させない(できない)状況を作り出し、主人公が追い込まれていく様を面白がる手法だ。

この手法の例として、バナナマンのコント「puke」が挙げられる。
酔っ払って○いてしまったブツをタオル1枚で隠し、それを友人にバレないようにするという、なんとも汚らしいコントだが、シチュエーションとやることのシンプルさ、設楽さんの追い込み方が天才的で、個人的にはこの手法の究極形の一つだと思っている。

先日のインプロワークショップで、この手法によるシーン作りを試した。
そのワークショップの本テーマではなかったので、軽く扱ってみただけだが、やってみたら皆これをやりたがった。
ワークショップや指導をしていると、そういうことがちょくちょくある。自分にとっては当たり前だが、皆にとってはそうでないこと。
なまじっか色んな種類の演劇を知っているだけに、こういったことをシェアしていくのも僕の一つの役割なんじゃないかと思う。

インプロは僕にとっては本業であり、そこに誇りも持っているが、同時に手軽で気軽な演劇遊びでもあると思っている。
これまで何千ものシーンを即興で作ってきたので、誰でもやれるような簡単な遊びから、突き詰めるとかなり奥深い遊びまで、多種多様の遊び方を知っている。まだまだ試していない遊び方もあるくらいだ。
最近「インプロのプロフェッショナル」と名乗っているが、それは別名「演劇遊びのプロフェッショナル」ということなんじゃないだろうか。

来週12日(土)には新たな遊びを試してみる。
印象的な始まり方と、パルプフィクションのような作品作りの探求だ。
どちらも即興で試す。思考するよりも試行する。
その方が結果的に学びが早いし、いざと言う時に自由自在に引き出すことが出来る。
頭で理解しただけのことは実践では活かせないからこそ、演劇には即興が存在していて、その重要性が語られている。
それが本当の自分の力になるのだ。

このWSでも即興する。身体を動かすことで言葉を表し、理解する。
ノートは取らなくてもいい。ただひたすら試して、創り続ける。
そんな試行錯誤の旅にこそ芸術が宿る。

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