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インプロと共通する3つの思想

僕が11年続けているインプロ(即興演劇)は、キース・ジョンストンというイギリスの演出家によって構築された思想体系がベースになっています。
「インプロの父」と呼ばれるキースは、俳優の舞台上における問題を解決するため、最初は単なるエクササイズとしてインプロを扱ったのですが、その面白さと有用性から、パフォーマンスとしても大きく拡がりを見せました。今では世界60ヵ国以上で彼のフォーマットが上演されています。

そんなインプロは「たかが即興」と揶揄されることがありますが、実はその思想体系は奥深く、先進的かつ革新的です(だからこそ多くの人にまだ理解されていないのかもしれません)
その理由に、彼がインプロに込めた思想は、最近になって注目されている3つの思想に共通するところが多いのです。
今日はそんな3つの思想と、インプロの共通点をざっくりとお伝えし、少しでもインプロというものの面白さを多くの人(特に演劇には全く縁がないような人)に知ってもらおうと思います。

では、行きましょう!

①インプロ×禅

まず一番に言えるのは、禅です。スティーブ・ジョブズが心酔していたことでも有名で、最近ではマインドフルネスという言葉で禅の思想が実践的に使われています。日本が誇る伝統文化です。
キースは禅を始め、多くの東洋思想をインプロに取り入れているのです。

「ベストをやろうしない。やるべきことをやるだけ」
「あなたが素晴らしい人なら、何もしなくてもあなたは素晴らしい。でもあなたが素晴らしい人でないなら、何をやってもあなたは素晴らしくない」
「うまくやろうとしない。勝とうとしない」
「一瞬一瞬そこにいる。頭の中ではない」
キース・ジョンストン

実際、キースがサンフランシスコの禅寺に教えに行った時、僧侶達は「これは禅で教えている「無心」「無我」ではないか!」と驚いたそうです。

②インプロ×アドラー心理学

「嫌われる勇気」という大ベストセラー本が書店に並び始めた頃、たまたま手に取った僕はその内容に衝撃を受けました。「これインプロやないか!!!」と。
正確には、インプロで大切にされている考え方を理論で補完してくれるもののように感じたのです。

例えば、アドラー心理学では「承認欲求や競争意識ではなく、ただ他者に貢献せよ」と言います。
そしてインプロの基本は「相手にいい時間を与える」です。キースは「自分のためにやろうとするから恐怖が生まれる」「自分にとって『うまくいった』時は、パートナーが楽しんでいた時」と言います。
実際、キースが創設したルースムースシアターのプレイヤー達は、対戦式のショーの時はいつもゲストの人や経験がない人を勝たせようとします。それによってとても良い関係性と雰囲気が作られ、自然とショーは盛り上がるのです。

また、アドラー心理学で「他人と自分の課題を分離せよ」とも言います。他人の課題に自分が踏み込んだり、逆に踏み込まれたりすることで、人間関係のトラブルが起きます(「あなたはこうした方が良いよ」と余計なことを言ったり言われたりして)
インプロでのフィードバック(振り返り)は「I message」が基本です。つまり「私は〜と感じた」「私は〜と思った」ということを伝え、「あなたは〜だった」「あなたは〜した方が良かった」とは言いません。キースは「相手がどう思ったかを知れば、自分が自然と改善していく」と言います(相手が困っていたことを知れば、次からそれをやらなくなる)

まだ紹介したい共通箇所はたくさんあるのですが、アドラー心理学とインプロに共通する最も大きな問いかけは「自分が望む人生(物語)のために、一瞬一瞬どんな選択をするか?」だと思います。
インプロには「インプロは人生と同じ」「一瞬一瞬の選択によって未来が決まる」「安全で安心な選択をすればつまらないストーリーに、危険でリスクのある選択をすれば興味深いストーリーになる」という突き刺さるようなメッセージがあります。
それに対してアドラー心理学には「過去の一瞬一瞬の選択の結果が今の自分」「そしてその選択は自分がしたもの」「だから自分の意思で変えられる」という非常に勇気をもらえるメッセージがあるのです。

③インプロ×心理的安全性

最後は、Googleの調査・分析によって最近よく聞くようになった「心理的安全性」です(2012年、Googleは「効果的なチームとは何か?」という問いに対する調査・分析の結果、「心理的安全性のあるチームが、離職率が低く、収益性も高い」と結論付けたのです)
特に何か一つのものをチームで作り上げていく現場では、この心理的安全性は必要不可欠です。
しかし、多くの企業(特に年功序列制度の残る日本)ではこの心理的安全性は確保されておらず、結果的にチームとしての機能や創造性が最大限発揮されないままになっています。

僕はこの心理的安全性という言葉を最近まで知らなかったのですが、その言葉を知って以降、「インプロでのチーム作りからパフォーマンスに繋がる全ては、まさにこの心理的安全性がそのまま体現されているものやないか!!!」とわかったのです。

先述したようにインプロでは「危険でリスクのある選択をすること」、要は「チャレンジすること」が大切です。
しかし、人は失敗することが怖いので、ただ「チャレンジせい!」と言ったところでなかなかチャレンジなんか出来ません。
キースは「安全を感じるからこそ、危険を冒すことが出来る」と言います。そのために「失敗を楽しみ合う」「相手にいい時間を与える」「自分の気持ちを素直に表現する」といったことをエクササイズや指導を通して育んでいきます。なので、世界にごまんといるインプロバイザー(即興役者。インプロのパフォーマンスをやる人)と呼ばれる人達は皆とても良い人です(笑)

先日、僕が研修に行かせてもらった企業さんでも、心理的安全性との親和性を感じてもらい、より実践的に活かせるツールとしてご評価頂きました。
今後、心理的安全性を獲得するための実践的なツールとして、インプロを売り出していこうと考えているなうです。そして、いずれはGAFAと仕事したい(GoogleやPixarは、そもそも研修でインプロを取り入れているので、むしろクリエイティブな企業の方がヒットする気がする)

まとめ

というわけで、ザーッと引用や自分の経験談を交えつつ、説明してきました。
何が言いたいかっていうと「インプロ面白いからとりまやってみません?」ってことです(笑)
ノリと勢いで動くのは大好きなので、以下のお問い合わせフォームより、スーパー気軽に連絡ください。
「どんなものか知りたいので、とりま話しませんか?」とか「一発ワークショップやってくれませんか?」など、連絡するだけならタダだし、誰にも迷惑かけません。必ず返信します。
特にオンラインでの研修や指導は、もうめっちゃくちゃ慣れてるし、去年1年間で多分100は超えました(笑)。「Zoomの扱い方講座」でも開けるんじゃないかってくらいです。
というわけで、ご連絡お待ちします♪


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