そのうち豆本に仕立てたい銅版画作品
ハンドメイド作家のPlava Stabloこと、青木弘之です。
私は興味が湧くと、ワークショップなどに参加して、とりあえずやってみるタイプの人間ですが、なかなかチャレンジする機会がなく、ひょんなきっかけで始めるようになったものがいくつかあります。
その一つが、銅版画です。(※ウィキペディアより引用)
もともと、版画には興味があって、消しゴムはんこや平版画(リトグラフ)の経験はあったのですが、特に銅版画作品を作るには、いろいろ大がかりな道具が必要で、家で気軽に一人でできるようなものではないし、教えてくれる工房のつてもないし、実際はなかなか難しいなあ…と感じていました。
きっかけはひょんなことからで、2018年8月に、知り合いの作家さんが出店していた、とあるイベントに顔を出したときです。
知り合いの作家さんの他にも、いろいろとブースがあったので、覗いていたのですが、あるブースで出店されていた作家さんのイラスト風の作品が目に留まり、作品についていろいろとお話ししているうち、作品の元になった画が銅版画だということが分かりました。
私も銅版画に興味があるんですけど、つてがなくて…という話しをつらつらとしていたら、作家さんから、知り合いの銅版画作家さんのワークショップに参加して作品を作っていて、近いうちにワークショップが開催されるから、もし平日でもよかったら先生に訊いてみますので参加してみませんか、とのお誘いをいただきました。
私は平日でも時間は取れるので、これ幸い!と、お言葉に甘えて参加させていただくことになりました。
銅版画の工房で一般的に行われるような、定期的に工房に通って、体系立てて、時間をかけて一つの作品を仕上げるコースとは違い、私の参加した工房は、基本的には刷版の作成から印刷まで一日で完結するワークショップ形式なので、私にとっても都合がよく、なにより、一般にワークショップの参加募集をしているわけではなく、先生の知り合いでないと参加できないサロンのような工房なので、参加できたのは本当に幸運でした。
銅版画ワークショップ初めての日、私は何を画の題材にしようか悩んだのですが、豆本作成用に海外旅行先の風景写真も撮りだめているので、まずは写真から下絵を起こすのに簡単そうな建造物、教会から手を付けてみることにしました。
銅版画と言っても、技法によっていろいろな種類があるのですが、私が取り組んだのはエッチングという技法で、防食剤でコーティングされた銅板に鉄筆で線を描いたのち、腐食剤につけて、線として現れた銅を侵食させることで溝をつけ、その溝に油性インクを埋めて、最終的にローラー印刷機にかけて、溝に埋まったインクを紙に転写するという流れになります。
と、一通りの流れは示したものの、最初は全くエッチングの仕組みが分かっておらず、銅版に鉄筆で傷をつけて線を描くとばかり思っていました…ちなみに、直接傷をつけるこの技法はドライポイントと言い、同じ凹版ではありますが、エッチングとは異なります。
四苦八苦して、何とか作品を仕上げた時はホッとしました。
ちなみに、最初に使ったモチーフは、ウクライナのキエフにある、聖ミハエルの黄金ドーム修道院の入り口の鐘楼でした。そもそも絵心がなかったので、実物からは、かなりデフォルメされて描かれています…
この最初の銅版画ワークショップの数日後、私は日本豆本協会が主催する「豆本のつどい」という集まりに参加しました。もともと私は日本豆本協会の会員でしたが、入会当初は手製本を行う延長上にある、単なる豆本愛好家といった感じで、特に豆本作品を作っておらず、周りの会員の皆さんに影響され、後年に今のような海外旅豆本を作るようになりました。
「豆本のつどい」は、毎年9月に開催されていて、多くの豆本愛好家が集う一大イベントなのですが、ちょうど銅版画作家の烏丸京先生の銅版画(メゾチントといい、エッチングとは凹面を作る技法が違う)作品をまとめた豆本を見て、大変感銘を受けました。
銅版画作品の実物を縮小印刷して、それを屏風開きの豆本に仕立ててあって、アートとして楽しめる作品に仕上がっているのを見て、「自分でもこういう作品を作ってみたいなあ」と思いました。
本に仕立てるとなると、テーマを決めたくなります。私は初回の作品に教会を選んでいるので、ここは教会でまとめてみよう!ということで、今に至るまで、世界各地の教会をモチーフに銅版画作品を仕上げています。
アクアチントという、腐食液に浸ける時間差で色の濃淡をつける技法を使った作品です。モチーフになったのは、チェコの東部オロモウツにある教会です。
これもアクアチント技法を使った作品で、モチーフは、アルゼンチン・コルドバにある大聖堂です。
これはアクアチントの中でも、腐食液を直接筆で版に塗って腐食させるスピットバイトという技法で色の濃淡を出した作品です。モチーフは、ペルー・クスコにある大聖堂です。
作品はたまってきており、そろそろ豆本に仕立てたいと思っていますので、もし今回の記事をご覧になってご興味を持たれた方は、ハンドメイド作品通販サイトに作品がアップされるのをお待ちいただければと思います。
銅版画の原画自体も、もし作品を見て興味をお持ちになった方がいらっしゃいましたら、コメントいただければ、他の作品も含め、販売を検討いたします。なお、原版サイズは縦120mm×横90mm程度の大きさです。
「旅から生まれた豆本」シリーズも販売中です。どうぞよろしくお願いいたします。
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