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どのようにして海外旅豆本を作っているのか(4)豆本原稿の作成と印刷

ハンドメイド作家のPlava Stabloこと、青木弘之です。

2/1に行われた、海外旅豆本に関するトークイベントでお話しした内容を振り返る第四回は、旅行先の写真と布という素材が揃ったところで、いよいよ豆本を仕立てていく過程の中の、原稿の作成と印刷についてお話ししたいと思います。
※第三回の「旅行先での布の調達」については、以下のリンクをご参照ください。

一か国につき、何冊の豆本を作るか

まず、制作する総部数という意味では、購入した布の面積によって変わってきます。私は、旅行先では基本的に布は1mの長さしか購入しません。従って、布の幅によって、作れる豆本の数も変わってきます。一般的には、布の幅は120cm程度のものが多いのですが、シルクの手織りだったりすると、幅が狭くなって60cmとか、という場合もあったりしますので、作れる冊数は一概には言えませんけど、30~50冊程度かなあ…と思います。布がなくなったら、その時点でその国の豆本は絶版になります。

次に、国ごとの豆本の数という意味では、基本的に一か国一冊です。今のところ、私が豆本にしている国々は、日本人にとってマイナーなところが多く、訪ねた街ごとに分けて豆本を作っても、内容の違いが今一つ分からず、お客様が購入に悩まれるのではないかという危惧からです。

ただし、例外もあります。まず、旅行先が広い国で、一冊にまとめるには無理があるだろう…という場合です。例えば、中国やメキシコなどが該当します。

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次に、現地製の布地が複数入手できた場合です。柄や素材が大きく違っていたりすると、豆本を分けて作ってみて、お客様に好みの布の表紙を選んでいただきたい…という思いが根底にあります。例えば、ペルー、ポルトガル、ポーランドなどが該当します。

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豆本のレイアウトについて

私の作る海外旅豆本は、すべて同じフォーマットで、本文は24ページ建て、うち20ページに写真を配置しています。これは、豆本の読みやすさや、完成時の厚さなども考慮して、このページ数に決めました。

原稿の編集には、Scribus(フリーのDTPソフト)を使用しています。汎用性の高い有償のDTPソフトもありますが、仕事で使っているわけでもなし、海外旅豆本自体、凝ったレイアウトでもないので、Scribusで十分です。印刷用には、Scribusの機能で、PDFファイルに変換出力しています。従って、最終的な完成形(保存版)は、PDFファイルということになります。

本文における写真のレイアウトですが、時系列順に、1ページ最大2枚まで、縦の場合は1枚配置しています。もともと私が以前作っていたZINEのレイアウトを踏襲していて、ページを読み進めながら、一緒に旅行気分を味わっていただけたらなあ…という思いもあります。

一つの国で、最低数百枚、時には千枚を超える写真を撮るときもあるので、毎回写真選びには苦労しています。私が気に入っている写真は必ず入れていますが、見ている方が、旅行先の国の雰囲気を感じてもらえるような写真を選ぼうと思っていますので、なかなか悩ましい作業です。同じアングルの写真を数枚撮影しているときもあったりして、いくつか見比べては、最善の写真を選ぶようにはしています。

基本的に、1テーマ(観光スポット、食事など)1ページに収めるようにしていますが。1ページに収まりきらない場合は、見開き2ページに配置するようにしています。これは、単に見やすさのためです。ページを繰って見なければいけないと、見にくいし、イメージも飛んでしまいますものね。

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写真には、それぞれ簡単なコメントを入れるようにしています。これが実はなかなか面倒で、場所や建物の名前など、間違えてはいけないので、ガイドブックを見たり、ネットで確認してみたりして、常に注意しています。思い入れのある写真は、細かくコメントしていたりするのですが、そんなでもない?ところでは、どういうコメントを入れようか、悩ましいこともあります。

原稿の印刷について

印刷には、ごく普通の家庭用インクジェットカラープリンター(Canon製)を使用しています。印刷する紙も、画材店で市販されているものです。自分でいうのも何ですが、私の作っている豆本サイズでも、結構きれいに印刷できます。特に、専門の印刷所に原稿を出して印刷してもらう…ということはしていません。

プリンターの印刷設定ですが、縦A4サイズの紙に、16分割(縦4×横4)に縮小印刷しています。ですので、出来上がる豆本のサイズは、およそA8サイズということになりますね。注意しなくてはいけないことは、印刷の際、四方に少し余白があって、中心に少し印刷が寄っているため、裁断時には、印刷された紙を単純に16分割してはいけない、ということです。

豆本の本文では、1枚の紙に両面印刷するのですが、片面には一冊分(12ページ)のみ印刷(縦3×横4) するようにしています。紙のムダを省くためには、1枚の紙に見開き2ページのレイアウトを8つ(縦4×横4) 印刷するほうがいいのですが、使用しているプリンターの特性か、何故か下の部分の印刷が乱れてしまうので、今のようなレイアウトで印刷しています。最新のプリンターなら、改善されているかもしれませんね。

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次回はシリーズ最終回で、製本方法についてお話しいたします。

「旅から生まれた豆本」シリーズ販売中です。海外旅行に行きづらい昨今ですが、この豆本で、ささやかな海外旅行気分を味わっていただけると幸いです。


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