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向こうで待っている人々も居るのだろう

今朝方、100歳の老婦人がお亡くなりになったのだと連絡をいただいた。施設長からだった。

静かな静かな一週間だった。

毎日毎日涙と笑い声に満ちていた。

6日目、声を発することができなくなった彼女が息子さんの名前をサイレントで読んだ。口がそのように動いた。

『いやあ、嫉妬するなあ。』と白髪の次男さんが言い、一族は爆笑した。孫もひ孫も大勢でお婆ちゃんを愛でつつ笑った。

入浴するほどの体力がないので清拭やドライシャンプーした彼女は日々美しかった。

『お婆ちゃん、綺麗だねえ。』と皆が言っている、その一族も、皆さん少しづつ彼女と似ている。

愛されて愛されて、私が『そろそろ皆さんお会いしておいた方が良い。』と言った7日目の朝方、彼女は静かに眠りについた。朝日を選んで旅立った。

***

まだ身体が怠い。休日の夕暮れが過ぎて、彼女のことを考えていた。

ご冥福をお祈りするのと同時に、私独特なのかも知れないのだけど、変な言葉が頭をめぐる。

めぐってしまうのは仕方がないので、ご冥福をお祈りするのと同時に『おめでとう。100年の人生、おめでとう。』と呟く。

その御葬儀は多分素晴らしい卒業式になることでしょう。

出会ってくれてありがとう。とても素敵な人だった。これからもずっと。

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