悲願

毎日、毎日、始業の30～40分くらい前には、必ず一人以上のナースが出勤していて、その日の内服薬のセットをしたり、処置の準備をしてくれている人が居る。

別にそんなに早くから始めなくても良い仕事内容だと思いもするが、出勤時にその光景を見ると、何となく、いつも申し訳ない気持ちになる。

それで、ある時期、自分が一番に行ってその業務をやることにしていたのだが、それはそれで、ギョッとされたり気を使われたりしてしまう。『ちゃんと出来ていませんでしたか？』などと訊かれてしまうわけだ。私は姑か。

全く無用な気を使わせても悪いと気を使ってしまい、その気を使っている私にまた相手が気を使ってしまう。ああ、ややこしい。

やっぱり自分のペースで出勤しよう・・・と思い直したのが良いが、今度は、毎日油断し過ぎ。

ついつい遅くなってしまうんだよう。本当にトロイ人間なんだよう。

そんなわけで、今朝も割とギリな時間でタイムカードを押して、エレベーターの前で足踏みなどしていた。←　まだ着替えていない。でも、エレベーターが来ない。

そして、背後を通りかかる人たちが、おはようございます、おはようございます、おはようございます・・・と仰るので、その度に振り返って挨拶するわけだが、そのうちの幾人かが『おはようございます』ではなく『おめでとうございます！』と。

え？と振り返るのだけど、先方も急ぎ足でそれぞれの部署へと急いでいる模様。

な、何だろう？正月でもないしな。今年はまだ事例研も開催すらされていないから、賞を取れるわけないしな。はたまた、誕生日でもないしな。

首を傾げていたところ、とうとう不可解な花束のようなものをいただいた。

・・・・・・。これ、野菜でないの？野菜に金粉が撒かれている。いつ買いに行ったの、これ。

次に『おめでとうございます！』と仰った方が、お掃除のおばちゃんだったので、そこでピンと来た！

すかさず、私もおめでとうございます！と言い返した。『色々ありましたが、良かったですね！』と、思わず、うるうる・・・。

Iちゃんがくれた似顔絵。

何故、この背番号なのかは、定かでない。

そして、これは、同じくIちゃんが描いた前ボスの似顔絵。

Iちゃんは、スポーツ万能で歌が上手くてギターも弾ける。それに絵も描けると来たもんだ。凄いなあー。と、そんな事は今どうでもいい。

施設には、この前ボス率いるジャイアンツ軍団が多く、その他、阪神やロッテなど、様々なプロ野球ファンがいる。Iちゃんが退職してからは、もはやKちゃんと私とお掃除のおばちゃんだけの小勢力と化していた我らだったが、何とめでたいことだろうか！これで胸を張って年を越せる。

↑　ファンというのは、こうして、あたかも自分のことのように喜ぶ。胸を張って年を越せるだと？！と自分に突っ込みたくなる。

目を覚ませ。ヤクルトの優勝とおまえは、一切関係ないから。

いや、いいじゃないか。今日くらいは。本当に嬉しかったんだよう！

そんなウキウキと浮ついた気持ちで、ナースステーションに入った途端、シャカシャカ！と働いているナースさんたちの姿を見て、我に返った。

働こう。

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今日が良い1日でありますように。

いってらっしゃいませ。