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普通にやることから始まる

『昨日もAさんからラインが来てね。』とボスが言う。

去年の今頃は一緒に働いていたナースさんのことだ。

私は良くして貰った。面白い人でもあった。提携病院でも施設でも人気者のようだったし、ボスとも仲が良いように見えていた。

ただ、何と言うのか、いつも誰かの陰口を言っていたし、特に二人ほどの人物への攻撃が凄かった。

特に興味もないのに、この施設に来た初日からあらゆる人のことを聞かされた。
そして、とあるナースさんに対する言動がいじめに近いものがあった。とは言うものの、いじめられているはずのそのナースさんも私に良く嫌がらせをしたり威圧的な態度を取っていたので、なんともはや。皆、勝手にして下さいという心情でマイペースを保っていた。

その日々の中でとても違和感を感じていたのは、『あと2ヵ月で辞める。』と固い決意を持っているAさんが、異様に施設の人事を支配したがるところだった。
普通去る場所の諸事情にそんなに熱心になれるものだろうかと。

やがては、私にまで『あの人とは仲良くしない方が良いよ。どうしてかというとね・・・』と支配したい欲丸出しの発言が続いていた。
面白い人なので、その異常さを抜きにすれば頼りになる先輩でもあった。
仲が良いボスも、彼女が辞めてしまうなんて寂しいだろうなと思っていた。

月日が流れて約一年。

退職して3日目から一年後の今も、Aさんは遠回しにうちの施設に復職したいとボスに連絡して来るそうだ。

それをボスが断っているのが意外だなと思った。

遠回しではダメだと分かって、いよいよ本気で『復職したい。看護師さん、足りてる?』と言っても来たそうだが、今度はハッキリ断ったとのことだった。

看護師の人数は充足はしていない。が、今の医務課がとても平和だからだろう。
かつていじめられていた人にも理由があったものの、Aさんが居なくなった後、段々個性を発揮してイキイキと働いている。

思うに、人は悪口を言う人、逆らうと面倒な人には従ったり合わせたり、それなりに付き合うらしい。飲みにまで行くらしい。

でも、おそらくそういう人はどこへ行っても揉め事を起こすし、大切にして来なかった古巣の人々にも『来ないで』と言われるのだろう。それなのに『どうしてだろう?』と首を傾げているのだろう。

過ぎてから思うことがある。毎日誰かと誰かが揉めて大騒ぎして、異常だったなあ。でも、騒ぎがないと退屈してしまう人だったようだし、平和だと自分自身の何かが見えて来てしまう静けさ。それを恐れ続けていたのかも知れない。人一倍一人が嫌いな人だった。
でも、職場には一切そういった刺激は要らないなあ。
一人で普通に出来る人、その上でチームプレーしてくれる人を求む。

粛々と自分の思う医務課を継続させて行こう。

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