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果たせた

今日は、今の施設に初めて勤めた当初のボスが、遠路遥々私たちの住まう街の駅までやって来た。前の前の施設長で、今はM&Aの事業部長をなさっている。

私たちの今日も勤務も辛酸を極めるほど忙しかったが、ボスはもっと忙しかったことだろう。「18時に会議が終わるから。どうしても終わらないようだったらラインするから。」と連絡が来たが、約束の19時きっかりには改札で待っていて下さった。そういう人だ。もしかしたら圧をかけて会議を早く終わらせたのかも知れないけど。

「僕は今日、お会いできることで朝からウキウキしていた。でも、それがこんな悲しい状況での飲み会になるなんて。」

すみませんとお詫びするしかない。

案の定引き留めようとして下さったのだが、その前に詳しい事情を聴いて下さった。
この引き留めを予想していたから、ちょっと胃が痛かったのだが、嫌な引き止め方ではなく、途中で「ああ、ダメか。そうだよね。二人とも腹が決まっているんだもんね。」と引き下がってくれた。

しかし、そこは営業肌。少しすると「本当にあなた方の上司の対応が最低だと思う。でも、残って見返してやるぞ!という気持ちにはなりませんか?」と言う。

そこで思うのは、看護や介護で見返すって何?そんな勝負要る?ということなのだが、こちらが口に出す前に「ならないよね。うん、わかってる。」と仰った。かつては一緒に働いていましたもんね。よく理解して下さっている。

そして慰留をあきらめた後は、4時間ほどに渡って私たちの功績を褒めたたえてくれた。
ちょっと引いてしまうくら真剣に「どんなに素晴らしかったか。本当に残念だ。あなた方は凄かった。あの時も、この時も・・・」と力いっぱい伝えて下さった。
「寂しいなあ。くやしいなあ。」と。
ちょっと、うるっと来てしまった。

この、たかだか1人2人の退職が事業部会にまで発展したという内部事情も聴かせて下さり、ちょっとそれにはビックリした。

どうなるわけでもないのだけど、わざわざそんな話をしに来て下さったことに感謝を覚え、そしてお偉い人でもあるので、途中でさらに胃が痛くなったりもして。

でも、およそ5時間あまり、沢山の思いを伝えて下さったことに感謝して、改札までお見送りした後、「これでやっと辞められる。」と思った。

まあ、あと4日行かないとならないのだけど。

その前に、すっかり忘れていたのだけど、明日は誕生日だった。およそ一か月ほど前に時計をプレゼントしてくれたというのに、Kちゃんが都内のホテルを予約してくれていると言う。

とりあえずは、この胃痛を何とかしよう。

この道は、どこへと続くのか。

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