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小さな私のサンタ

PCの上にプレゼントが置いてあった。
もうすぐクリスマスだからとのこと。

KちゃんからのZippoと言えば、5~6年前にも貰った。
新宿の本屋の下にあるZippo専門店のような店で目についたレッドの革貼りのライターだった。
何故、Zippoが好きなのだろう?
多分、大昔からあるもので、原始的な作りだというのに完璧。未だに変わらず残っているものだからかも知れない。

赤い革のZippoは年季が入ってかなりボロくなった。それが余計に手に馴染む。特にタバコを吸わなくても手に取って眺めていたくなる。

私がZippoを好きだということを知って色んな方が贈って下さったもの、自分で気にって数年に一回買うものを含めると結構な数になる。

例えば、無地のメタルのZippoは、あの子がくれたものだった。シンプルなのに、キャップを開けた時のキーン!という音が秀逸だった。
一度アスファルトに落としてしまってから音が変わってしまって残念。

そして、ホワイトターコイズが装飾されたものは20年前にあの子がくれた。「幸せになる石なんだって!」と。
あまりに嬉しそうに言ってくれるので、選んでくれた気持ちと彼女のその貴重な時間を思った。

ある日の酒の席では、バイクに乗りもしない時代の中で、ハーレーダビッドソンのライターを貰った。それをくれたのは、当時の大切な人だった。その古いライターが良く似合ういかつい人だった。
その使い古しのおさがりのライターは、もしかしたら今までで一番気に入っていたモノだったかも知れない。
もっとも、私には全然似合わなかった。

が、訪問の仕事をしている時に仲間の一人がそのライターに釘付けになった。「何、これ!凄い!」と。
彼の、その魂の持って行かれっぷりを観た時、かつて初めてそれを目にした時の自分を投影した。
丁度結婚したばかりだと聞いたし、ずいぶん世話になったので「良かったらどうぞ。」とお祝い代わりにプレゼントした。
歓喜して色んなお礼をされたのだが、はたして何を貰ったのか、今ではひとつも覚えていない。
ただ覚えているのは、一つのライターの背景にある何かを感じ取り、それが一致した瞬間の嬉しさだった。分かってくれるのか!?と。
多分私にあれをくれた方の彼も、私が感動する様を見てそんな気持ちだったのかも知れない。

今、あいつ(ライター)は、どこの誰のところに居るのかな。

と、包装紙を開けた時に見えたZippoの箱を見て、ほんの一瞬の間に色んなことを思い出していた。

そして箱を開け、モノを観たときにビックリした。ハーレーのZippoの話、Kちゃんにしたことなんてないのに。

で、私の普段の恰好や持ち物にも、それを彷彿とさせる好みは何ひとつ無いはずなのに。

そしてデザインが凄く気に入った。

あれからハーレーダビッドソンのZippoを沢山目にして来たけれど、どれも翼を正面で広げている絵ばかりだったので、これは珍しい!と思った。(そして側面から観ると正面を向いている彫刻となっている。)

新品かあ~・・・。どうなんだろ?
当然、味はまだ無いに等しい。

そう思って、カチッと蓋をあけて観ると、キーーーンっっっ!と高い音が響いた。そしてボッ!と炎が周囲を照らし、占めるとカチン!と鳴った。

完璧だ。

古くて新しいモノが同時に押し寄せて来た。

私はどこにでもいるただの小柄なおばさんなのだが、Kちゃんが目を輝かせて「似合う。やっぱり似合う。間違いない。」と私以上に喜んでいる。彼女はどこに何を見ているのだろうか。そっちの方が不思議だ。

それで、それからしばらくタバコも吸わないのに延々と蓋を開けたり閉めたりして時間を費やしていた。

はっ!

たかだかZippoの話にこんなに費やしてしまった。

そうです。私が変態のOhzaです。

この師走の忙しい時に、ごめんなさい。(&ありがとう。)

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