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変なジャッジと呪い

ここのところ、いつもそうだけど、『あれ?今日は暖かいな?』と朝のうちは思うが、夕暮れを待たずして冷え始める。まだまだ寒いな。でも、氷点下の日が無くなって来た。
三寒四温。
可愛らしいピンクの花が枝を彩っていた。

***

お世話になった昔の上司の話を聞いた。
それを知る昔の仕事仲間が『泣きついて来るのを待っているよ。泣きついて来て欲しいんだよ。』と言った。何のことはない、世間話の一部だったのだが、少し首を傾げた。意味が分からなかったから。

そんなことを忘れていた頃、玄関前に段ボールが置かれていた。私がよく飲む爽健美茶なる名称のお茶、一箱。
その前も、忘れた頃に自転車の籠に数本入っていたりとか。ちょっと怖いよね、これ。

昔の夫は世話好きだった。基本、親切だが、何をして良いのか分からないから好きなものを大量に与えるというところがあった。別れるときに、しきりに何度も言っていた言葉がある。『ほんとに良いの?』という言葉。
『本当に良いの?女の人が一人で生きて行くのは大変だよ。無理だよ。』と。

これまた意味が分からなかったが、確かに世間は、未婚とか独身という境遇をちょいと見下げた扱いをする。保護者がいないと一端に扱って貰えないとは、大っぴらには言葉にしていないが。

彼自身もそう言って育てられて来たことだろうし、それがよく言う普通の家庭の姿なのかも知れない。でも、気が付けばいつも『庇護してあげるから、これは許してね。』という態度がそこにあった。
世間から守ってあげるから、尽くしてね、讃えてね。
気が付かないふりをしていたのだけど、私が何かに成功していると、いつもどこか不機嫌だった。

そこから半年、一年後、二年後、もっともっと歳月が流れたのだけど、思い通りにならないことが不思議なようだ。
気が付いて欲しい。お茶くらい自分で買えるよ。

話は違うのかも知れないが、元上司が『今はどこに居るの?(どこに勤めているの?』と訊いてくれるのでそのまんまを答えた時『派遣か~。派遣ですか。』と言った。

かつて彼がこの上ないほど承認してくれたおかげで確かに多くの報酬を得ていた。それには感謝している。多分、私はこの国で一番給料を貰っているナースだったと思う。毎晩夜勤をやってもあんな年収になる人はいない。
そんな経緯もあってか、今の給料を質問して来られるわけだけど、これも素直に答えると沈黙になる。『そんなんだったら戻って来なさい。』と用意されていた言葉が言えなくなるから。

私は人に頼られると嬉しいけれど、応援している人が『うまくいかないといいな。』などと言う呪いはかけない。
でも、世の中、『普通』を豪語して来た人ほど、そんな呪いをかけて来る。

何が悲しいかって、そんなエネルギーを撃退できた理由が収入という点だったこと。
収入が少なくたって幸せにやっていたかも知れないし、以前のように多くを得ていても、不満でいっぱいだったかも知れないじゃないか。
そんな観点すらもてないほどの魂が悲しい。

私は、袂を分かつ人にしばらくぶりに会ったり連絡したりするとしたら、普通に「元気?」と訊いてみたい。

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