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即席カフェが愛用されている

老人ホームと呼ばれるところで日々働いているわけだが、何と言うのか、利用者さんたちに老人が少ない。もとい老人と思ったことがあまりない。高齢者であることには間違いないのだが。

60代くらいの方も居るし、齢90を過ぎても頭がクリアでお元気な人も沢山いらっしゃる。ただ、お身体だけは気を付けて大事にしなくちゃならない脆弱さを持っているんだけどね。

そうそう、その中身がお若い方々は特別養護老人ホームと言う場所では退屈しやすい。

毎日フルメイクをしている綺麗なご婦人お二人と、90歳は超えているけれどお洒落な紳士が毎日廊下で立ち話をしていることに気が付いたので、何とか即席のカフェみたいなものをその場に作ってあげたくなった。

余談だけど、私と施設長は、古くからいた上層部がゴミ溜めのようにした施設を凡そ半年ほどかけてクリーンにしたところだった。何でもモノを取っておく気質で書類に虫が湧くほどの馬鹿野郎怠惰ぶりの人々の反対を押し切って決死の断捨離を続けた半年間だった。
この断捨離にずいぶんお金をかけた。バカみたいだ。毎年やっていてくれればこんなに苦労しなかったし、こんなに予算をかけずに済んだのに。

その断捨離の最中でも、結構使えるものが残っていて、一階のフロアに古いけれど、なかなかオシャンティーな半円型のテーブルがあったのを思い出した。しかし、これは重いぞ。どうやってあの方々がいるフロアまで運ぼうか?と思案していると、怪力ナースの姉さんが通りかかったので力を借りた。

エレベーターが開くなり重厚なテーブルを私たちが運んで来たので目をキョトンとして見ていた3人の高齢者。
二つに分かれたテーブルをくっつけて半月状にし、レースの敷物を敷き、お花を飾った。

三つの椅子を置いたらたちまち癒しの空間になって、とても喜んで貰えた。そこで珈琲を飲んだり、やがてご飯も3人で食べる日が増えて来たようだ。

高齢者というのは声がデカい人が多いので楽しそうな会話の中身が聞こえるのだが、半分くらいはエロ話だ。(笑)

でも、それで元気になられるのなら良いじゃないかと思う。

もちろんエロ話だけではなく、人生を語り合っていたり、職員に対する悪口を言って発散したり、まあ、とにかく盛り上がっている。

病は苦しい。老いも生易しいものではない。

でも、笑いが多い施設にして行きたい。そう言えば玄関の前のツツジが満開だ。近日ここに連れ出してお茶会でもしようか。

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