思わぬ団結

施設で感染症が発生すると、理想としては1フロアに固定された人物が居た方が良い。
が、特養という限られた人員ではそれが叶わないので、翌日は別のフロアに配置されることもあるのが介護職員だ。

一旦家に帰って風呂入ったりしてリセットして、体調に変わりがないか自己確認して、さらには抗原検査をして陰性だったら感染エリアじゃない方が勤務するとか。まあ、どれも気休めなのだけど、仕方ない。

私たちナースの場合は幸いにも完全分担が叶っている。私は感染エリアを受け持つ。来る日も来る日も。
その方が気が楽なのだ。

しかし、土曜日は一人勤務というのがこの施設のセオリーなので、清潔区域の仕事を終わらせてから感染エリアへ向かおう・・・という作戦を前日に立てていた。
金曜日の勤務中に、N95マスクをつけて長袖ガウンにフェイスガード。呼吸困難と滝汗をかきつつ、黙---っ仕事をこなしつつ、一人の頭の中で考え続けていた。イメトレ、イメトレ。

ところが、清潔エリアからAナースが上がって来て『私、明日、出勤させて下さい!』と言う。『こちら側(清潔エリア)の仕事だけでもやらせて下さい。』と、自ら休み返上の言葉を投げかけて来た。

諸事情あり長いこと険悪だったが、最近やっと腹を割って話始めた人。乗り越えかけていた人だった。

あなたも6連勤になるけど大丈夫ですか?と訊いたが「だって私、この間まで休んでいましたから。ほんとに沢山休んでご迷惑おかけしましたから。居ても役に立てないかも知れないし、私に手伝われるのは嫌かも知れないけれど・・・」。

これはもう、甘えてしまった。大きな感謝と共に。

実際、本当に助かった。感染エリアは本当に神経ピリピリで、この上清潔エリアの仕事をやっていたかと思うと・・・それを想像すると、どう考えても廃人になっている自分しか想像できなかった。

ありがたいなあ。

Hおばさんも上がって来た。
おじさんなのに、おかんみたいだから、おばちゃんと呼ばれている彼もあがって来た。

皆さんに沢山助けられた。

まだ息を吐けない気持ちなのだけど、とにかくもう、本当に助かったのだ。

利用者さんたちが元気だった。

この感謝と共に今週の闘いを終えて、一日休んでまた始まるわけだが。

謎の吐き気と、謎の腰背部痛をかばっていたところ、膝が痛くなってしまって、妙な動きで働いているわけなのだけど、とにかく心はホカホカだった。

ああ、皆元気に乗り切れますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?