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一人パニックは勝手にどうぞ。巻き込むは無しよ。(というパーソナルスペースの話)

だいたい施設の4分の3くらいの人々のことが分かって来た。そうなると格段に仕事の幅が広がる。

が、15分くらい前に出勤すると、パートさんがわーー!と喋りかけて来る。
『もう私!お風呂に入る人のバイタル測って来るから!』

あたかもこちらが遅刻して来たかのような口ぶり。
何でも近々正社員のナースさんが二人辞めるらしく、『それならば』と、このパートさんが正社員になること希望しているとのこと。

しかし、今のところ3番手のこの方は、暗黙の了解で朝は一番に出勤して換気したりPCの電源を入れたりストレッチャーを医務課の外に出したり、体重計のコードを繋いだりしているのだとか。

それをわざわざ言ってきたほどなので、本当は私にその役割をやれと言っているのだろう。やって欲しいのだろう。
別にやっても良いのだけど、そんなものは10分や15分前に出勤すれば出来ること。

やれやれと思って、彼女が言っていた入浴の人以外の人々のバイタルを取って周っていたところ、だーっと走って来て人のメモ版を覗き込み『もうこんなに測ったの?』と大声を出す。
いやいや、今日のご状態を訊きながらゆっくりでも周れますわ、こんなもの。

『それだったら!入浴の人たちを先に測って!』と叫んでいる。

ずっと早口で汗びっしょりでハアハア言いながら、『まだ二人しか測ってないから続きを測って!』と、前言を覆す。

もうこれ、嫌いな流れだから、ゆっくりと訊き返す。『最初はあなたが本日入浴の方々を測ると言っていたけれど、途中から私に替わるということですね?私はこの人たちを測ったあと、あちらの端からその他の人を測って周りますが、これで良いですか?』

『・・・・・・。はい。』

この嫌いな流れは放置すると、一日中続く。事故も起こりやすいし、気が伝搬して高齢者も不穏になる。急変も起こりやすくなる。

その早口と大声、何にも急ぐことがない場面での慌てふためきぶり。この日は何度止めても、この人はワーワー言っていた。そうしないと仕事した気になれないのかも知れない。

しかし、さすがに午後になるとその不穏も落ち着いて来て、色々と雑談を持ちかけて来たので、それなりに応じていたのだが、ある言葉を聞いて絶句した。

『でも助かるわ。こんな出来る人が正社員になってくれるなんて。』

はっ?!と思わず大声が出てしまった。

だーーーれもそんなこと言ってないよ?!

『え?知らないの?ああああ、これから話すところなのかな。でも、是非よろしくお願いします。』

よろしくお願いされません。

『本当はこうした方が良いのになーとか思うことがあったら、何でも言って。是非取り入れるから。』

本当はこうした方が・・・ってのが、あまりにあり過ぎると、もう何から言っていいのか分からないんだよ。

『間違っていることがあったら直すから。』

それも多すぎると、もはや言う気にもなれないんだよ。

ここ一ヶ月の目標は、惑わされずに着実に自分の仕事をすることだ。ワーワー言われると気が散るので、朝一のバイタルも全部自分が測ることにしよう。
それでも、バタバタ&ギャーギャー言っていたら・・・気が散らないように注意するしかない。

あーめん。

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